ECG-310:answer
80才代女性で、心不全でのER搬入でした。
当初は、心房細動ベースの心不全患者として加療開始していましたが、心筋トロポニン値の上昇が進み、緊急心カテ(PCI)となりました。
【 わかりにくいACSは、きっとLCX病変だ 】
苦し紛れの法則ですが、その気になって心電図をお復習いしましょう。
(ER搬入時の心電図:解説)
クリックすると、ECGが拡大します。
V6で、ST0.5mm上昇とT波の後半部陰転化と思えるが、基線が不安定なだけかもね、と軽くスルーしそうです。 I 誘導と aVL はT波がflatなだけだし。
慢性の心房細動のようです。
念のためと、研修医は経時的血液検査を行いました。すると、心筋トロポニン値の赤丸急上昇が確認されました。あれ、心不全への対症療法のみでは、いけないのでは?
今度は、ACS狙い撃ちの12誘導心電図+V7,8,9&右側胸部誘導が記録されました。
(ER搬入、三時間後の心電図:解説)
クリックすると、ECGが拡大します。
V7,8でST上昇あり。V2,3はミラーイメージのST低下か。
今度は、aVLもST上昇のようです。
(LCXのACSは、この程度のST-T変化でも、すくい上げる必要あり。)
全てを合算して、回旋枝領域のACSを想定し、緊急心カテとなりました。
(PCI前のシネ画像)
クリックすると、拡大します。
回旋枝(LCX #11)での完全閉塞でした。(ミドリの▲部分)
(左上の#6は、造影剤が上手く乗らず、狭窄ように見えております)
クリックすると、拡大します。
側壁~後壁の虚血でした。
心エコーで分かりそうですが、もともとの心機能が落ちていると、局所性の壁運動障害は熟練者でないと、分別できないこともあります(←やや言い訳)。
また、この症例搬入時に、CPAも別搬入されており、ERは大変でした。
クリックすると、ECGが拡大します。
V2,3,4のST低下ハッキリしており、この心電図の方が、虚血発作の匂いが強くしますね。
(12病日の心電図)
クリックすると、ECGが拡大します。
心房細動+左室肥大です。ACS亜急性期とは、この1枚の心電図からは読み取れません。
今回の教訓(LCX-ACS)は、以下のようにします。
【 回旋枝のACSは、心電図への反映が時に微妙・・ 】
【 V7,8,9まで記録すべし。この部分でST上昇あればSTEMIデス! 】
【 心エコーでの左室の短軸/四腔像で、自由壁運動を判定すべし 】
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ECG-310:80才代女性。心不全発作での搬入です。
80才代女性です。呼吸苦・喘鳴でのER搬入です。
内服の抗凝固療法が、以前より施行されています。
直後に記録した心電図と、三時間後の心電図を提示します。
(この間、心不全への加療が施行されました。)
Question:この2枚の心電図から、何を考えますか?
ERでの胸部レントゲンを添えます。
(ER搬入時の心電図)
クリックすると、ECGが拡大します。
(ER搬入、三時間後の心電図)
クリックすると、ECGが拡大します。
(ERの胸部レントゲン 喘鳴あり )
クリックすると、拡大します。
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Cardio2012のECGブログ より移転 (Q&A)
Cardio2012のECGブログより:2019/5/29にココログよりインポートしました。
ここには、ECG-001 〜 ECG315まで
* 2012/6/24 〜 2019/5/4 です。
それ以後は、ここ ( ↓ ) に展開中です。
ECG-317:90才代女性。呼吸不全の悪化で、入院です。
https://heart2019ecg.hatenablog.com
Cardio2012のECGブログ@ココログより、インポートしました。
ECG-001〜ECG-317までUpしております。
ECG-318以後は、上記websiteにアクセスお願いします!!
90才代女性です。元々、間質性肺炎を指摘されています。
今回は、呼吸不全悪化での入院加療となりました。間質性肺炎の悪化と診断しております。
胸部レントゲンとCT画像です。一年前と今回(X day)を提示します。
クリックすると、拡大します。
一年前と今回(X day)の心エコー図を提示します。
四腔像と左室短軸像です。
X dayは、右心系が拡大し、右室圧も高いようです。
一年前の心電図を提示します。
クリックすると、心電図が拡大します。
【Question】
この(一年前の心電図)を、判読して下さい。
そして、(X dayの心電図)を、想像して下さい。
今回も、引っ掛けなしです。むしろ、想像していた心電図波形(X day)ではなくて、私も困っているんです。。
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ECG-316:answer(2/2)
https://heart2019ecg.hatenablog.com
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半年前の X day に戻ってみます。
この患者さんの搬入時の心電図です。
* 洞調律で、CRBBBです。
* V2-6 と I, aVLでST上昇です。
* II, III, aVF で著明ST低下です。(これは、ミラーイメージです。)
クリックすると、心電図が拡大します
では、冠動脈はどんな状態であったのか。
PCI前後の造影所見です。
IABP, thrombuster, KBT とけっこう大変でした。
なお、RCAはintactでした。
クリックすると、心電図が拡大します
LADへの血行は、PCIで再建されました。
見えていなかった high lateralが見えてきましたが、血栓性と思われる閉塞が残りました。
PCI前後での心電図変化です。
PCI後は、CRBBBのままでST-T変化はかなり治まってきました。
23:19には、V1-5 と I, aVLでほぼQSパターン。となっています。
CRBBBは無くなったので、QSパターンがハッキリしてきました。
この後、IABPを離脱し時間が掛かりましたが、うっ血状態から離脱できて、一般病棟で1ヶ月ほどリハビリした後に、外来管理へ移っております。
心筋シンチでは、心尖部から前壁の defect を認め、薬物負荷でも殆ど変化がない = 心筋壊死を示します。
心筋シンチによる壁運動解析では、収縮時に心尖部は、dyskineticに動いています。
さらに、ER/PCI 6時間後/X+6 monthsの心電図を加えて見ます。
* I, aVL ,V5-6, は、QSパターン化したままです。心尖部/側壁の梗塞完成。
* V1-4 では、r 波の復活です。
大阪の盟友 S 先生とのdiscussionで、以下のお話しをしております。
◎このPCIで、心原性ショックで患者を失う事を、回避している。
◎心尖部はdyskineticであるも、心筋シンチでの残存心筋は十分にあり、内服薬での心不全コントロールに成功している。
◎緊急PCIでの冠血流再開は、心破裂のリスクを激減させる。
回答(answer)です。
【Question-1】 この心電図から、半年前に何があったのか?想像して下さい。
ACSでした。#6の血栓性完全閉塞で、high lateral枝を含んでいました。
LADの血行再建に成功し、high rateral枝も復活してますが、途中で閉塞のままです。おそらく血栓性です。
このストーリーを、X+6カ月後の心電図から読み取るのは、無理筋です。小さなr波があるけれど、広範囲前壁梗塞の可能性あるよね、と理解出来ればOKです。
【Question-2】 どのような検査で、それ(OMIの範囲)を推定しますか?
まずは、心エコーです。これで、側壁のみか広範囲前壁か、虚血範囲の同定でがきます。心筋シンチで、助けるべき心筋が残っているかの推定を行います。
安定期心電図から、イベント発生時の状況を推し量る、というお話しでした。
ECG-316:answer (1/2)
https://heart2019ecg.hatenablog.com
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まず、このイベント6カ月後の心電図を、 読んでみます。
* 洞調律です。
* aVRで陰性P + aVFで陽性P = 上肢の左右の電極付け間違え無し。
* I, aVL, V5-6のQS pattern → 広い側壁の陳旧性梗塞。
* II, III, aVF でのQ波無し。
側壁の陳旧性梗塞ですね、は問題ないでしょう。
私の考えるポイントは、V1-4のr波をどう解釈するかです。
R(r)波の存在 = その誘導の心筋は元気です! はちょっと早とちりになります。
(解釈-1)
大きな回旋枝のACSである。
回旋枝の支配領域 = 側壁であり、心電図変化を説明出来る。
(解釈-2)
前下行枝のACSである。
広範な前壁梗塞であるが、一部残存心筋がV1-4の r 波を形成している。
よく見ると、V2で最大となった後、r 波高は減衰しています。
(RRWP : Reversed R Wave Progression)です。
それは、こういうイメージです。
どっちなんでしょうか? (解釈-1) or (解釈-2)
あなたは、6カ月前のイベントの内容を知りません。(の前提です)
【Question-2】 どのような検査で、それを推定しますか?
で、answer(2/2)となります。
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ECG-316:60才代男性。イベント半年後の心電図です。
https://heart2019ecg.hatenablog.com
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60才代男性です。イベント発生後、6カ月後の外来受診時に撮りました。
【併存症】高血圧・ 2型糖尿病・ 脂質異常症・ 喫煙(してました)
何も調べなくても診断が決まるような、レッドフラッグの多さですね。
【Question】 この心電図から、半年前に何があったのか?想像して下さい。
引っ掛けはありませんが、こんなこともあるんだね、と云う症例です。
クリックすると、心電図が拡大します
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