ECG-030:answer
ECG-030:85才男性の頻拍発作です。ワソランにて治ってしまいました。
さて、VT・・と考える内に、少し不安になって、お師匠様にメールでご相談しました。コメントを頂き、
*普通にVTでしょう。
*結果的にいわゆるベラパミル感受性のatypicalなタイプだったのかもしれません。
*最初からDCもありでしょう。
とのお言葉を頂きました。
よって、安心して解説してみます。(ちょっとホッとしています)
*Wide QRS Tachycardiaである。
*II, III, aVF にて、QRS軸は下向き(左軸偏位)=上方軸と呼ぶ。
*基本的に、CLBBBパターンである。
*I 誘導は、たぶん上向き。
*ベラパミルに反応した。(頻脈は止まった)
*起源は、下壁側の右室よりか、右室。(明瞭には決められない、EPSじゃないんだから)
教科書的には、Brugadaの改訂VT基準に沿って考えます。
でも、若手医師セミナーで、慶応の新進気鋭のドクターは、(半分くらいしか12誘導では当たりませんね。)と、大胆な本音を言われていました。
【WQRSTは、VTでないと分かるまで、VTとして取り扱う】
⇒ACLSプロバイダーマニュアル(2000年ガイドライン準拠、多分もう売っていません)P.181
→法則1 安定した広いQRS幅の頻拍は、証明されるまではVTと考えるべきである。
→法則2 常に法則1を忘れないこと
【循環動態が、維持できないと判断した低血圧では、治療にはDCを優先させる】
【低血圧とは、あなたが管理できないと思った血圧のこと】
この症例は、結果的にACSではありませんでした。社会的背景もあり、冠動脈造影まで行いませんでした。虚血の有無は、不明。
【虚血性心疾患でのWQRSTは、VTである!と思って治療してよい】(80%以上の確立)
なお、日本人では虚血心によるVT割合が少ないのも、特徴です。(虚血心では、VTです)
次は、治った直後の心電図です。経時的にST低下は、戻っていました。
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