heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-030:answer

 ECG-030:85才男性の頻拍発作です。ワソランにて治ってしまいました。

 さて、VT・・と考える内に、少し不安になって、お師匠様にメールでご相談しました。コメントを頂き、

*普通にVTでしょう。

*結果的にいわゆるベラパミル感受性のatypicalなタイプだったのかもしれません。

*最初からDCもありでしょう。

 とのお言葉を頂きました。

 よって、安心して解説してみます。(ちょっとホッとしています)

*Wide QRS Tachycardiaである。

*II, III, aVF にて、QRS軸は下向き(左軸偏位)=上方軸と呼ぶ。

*基本的に、CLBBBパターンである。

*I 誘導は、たぶん上向き。

*ベラパミルに反応した。(頻脈は止まった)

*起源は、下壁側の右室よりか、右室。(明瞭には決められない、EPSじゃないんだから)

 教科書的には、Brugadaの改訂VT基準に沿って考えます。

 でも、若手医師セミナーで、慶応の新進気鋭のドクターは、(半分くらいしか12誘導では当たりませんね。)と、大胆な本音を言われていました。

 

【WQRSTは、VTでないと分かるまで、VTとして取り扱う】

 ⇒ACLSプロバイダーマニュアル(2000年ガイドライン準拠、多分もう売っていません)P.181

  →法則1 安定した広いQRS幅の頻拍は、証明されるまではVTと考えるべきである。

  →法則2 常に法則1を忘れないこと

【循環動態が、維持できないと判断した低血圧では、治療にはDCを優先させる】

【低血圧とは、あなたが管理できないと思った血圧のこと】

 この症例は、結果的にACSではありませんでした。社会的背景もあり、冠動脈造影まで行いませんでした。虚血の有無は、不明。

【虚血性心疾患でのWQRSTは、VTである!と思って治療してよい】(80%以上の確立)

 なお、日本人では虚血心によるVT割合が少ないのも、特徴です。(虚血心では、VTです)

 次は、治った直後の心電図です。経時的にST低下は、戻っていました。

 E03007012203vt20101023pm0435

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