ECG-316:answer(2/2)
https://heart2019ecg.hatenablog.com
Cardio2012のECGブログ@ココログより、インポートしました。
ECG-001〜ECG-317までUpしております。
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半年前の X day に戻ってみます。
この患者さんの搬入時の心電図です。
* 洞調律で、CRBBBです。
* V2-6 と I, aVLでST上昇です。
* II, III, aVF で著明ST低下です。(これは、ミラーイメージです。)
クリックすると、心電図が拡大します
では、冠動脈はどんな状態であったのか。
PCI前後の造影所見です。
IABP, thrombuster, KBT とけっこう大変でした。
なお、RCAはintactでした。
クリックすると、心電図が拡大します
LADへの血行は、PCIで再建されました。
見えていなかった high lateralが見えてきましたが、血栓性と思われる閉塞が残りました。
PCI前後での心電図変化です。
PCI後は、CRBBBのままでST-T変化はかなり治まってきました。
23:19には、V1-5 と I, aVLでほぼQSパターン。となっています。
CRBBBは無くなったので、QSパターンがハッキリしてきました。
この後、IABPを離脱し時間が掛かりましたが、うっ血状態から離脱できて、一般病棟で1ヶ月ほどリハビリした後に、外来管理へ移っております。
心筋シンチでは、心尖部から前壁の defect を認め、薬物負荷でも殆ど変化がない = 心筋壊死を示します。
心筋シンチによる壁運動解析では、収縮時に心尖部は、dyskineticに動いています。
さらに、ER/PCI 6時間後/X+6 monthsの心電図を加えて見ます。
* I, aVL ,V5-6, は、QSパターン化したままです。心尖部/側壁の梗塞完成。
* V1-4 では、r 波の復活です。
大阪の盟友 S 先生とのdiscussionで、以下のお話しをしております。
◎このPCIで、心原性ショックで患者を失う事を、回避している。
◎心尖部はdyskineticであるも、心筋シンチでの残存心筋は十分にあり、内服薬での心不全コントロールに成功している。
◎緊急PCIでの冠血流再開は、心破裂のリスクを激減させる。
回答(answer)です。
【Question-1】 この心電図から、半年前に何があったのか?想像して下さい。
ACSでした。#6の血栓性完全閉塞で、high lateral枝を含んでいました。
LADの血行再建に成功し、high rateral枝も復活してますが、途中で閉塞のままです。おそらく血栓性です。
このストーリーを、X+6カ月後の心電図から読み取るのは、無理筋です。小さなr波があるけれど、広範囲前壁梗塞の可能性あるよね、と理解出来ればOKです。
【Question-2】 どのような検査で、それ(OMIの範囲)を推定しますか?
まずは、心エコーです。これで、側壁のみか広範囲前壁か、虚血範囲の同定でがきます。心筋シンチで、助けるべき心筋が残っているかの推定を行います。
安定期心電図から、イベント発生時の状況を推し量る、というお話しでした。