heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-031:answer

 ECG-031:87才女性。WQRSTの患者さんでした。

 慣れると、すっぱと一発診断してしまうし、そうでないと、なかなか決断できませんね。

 こつこつと、まず考えてみます。

*150/min.くらいの頻脈です。

*WQRSTは間違いありませんが、なんか、あぶない感じがしません。

(心電図上もそうだし、患者さんもニコニコしてます)

*CRBBBが、単に頻脈化しているようです。VTは、考えにくい。

*RRは、どこを見ても整っており、Afib.否定的。除外します。

*とすると、(洞性頻脈)(PAT)(AFLの2:1伝導)、あたりが候補となりますね。

*II, III, aVF では、残念ながらわかりやすいのこぎり波が、見えてこない。

*V1をじっとよく見ると、なにやら、Flutter波らしいのがあった。

E031aflf_2

クリックすると、ECGが拡大します。

 2:1伝導のAFLと考えますが、ERのドクターは、診断的治療として、ATP10mgのi.v.を選択しました。

E03103101589atp86f10mgiv

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 ATPが効果して、房室伝導が一時的に途切れました。この時に、F波がよく観察できています。

E031atp10mgiv

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 この方には、ATP10mg少し、多かったかもしれません。

 PSVT治療では、5.0mg→10mg→20mgを、ワンッショットします。

 秒単位で分解されるので、ほんとうに一気に静注+後押し生食を入れます。

 強力な迷走神経反射・嘔吐反射が出現します。(いきなり二日酔い状態、みたいな)

 ですから、Full-stomachは、止めた方がいいです。

 この方は、AFLなので、発作は止まりませんが、Flutter波を確認して、確定診断となりました。

 その後、50Jで除粗動しました。次は、洞調律化した後の心電図です。

E03103101589crbbbnsr20100428

クリックすると、ECGが拡大します。

 もちろん、カテーテルアブレーションを、不整脈専門医にお願いしております。

 この症例は、古典的なAFLではありません。II, III, aVFより、V1でF波がはっきりしていました。

 AFLの型分類は、アブカテ屋さんには、手技上も問題もあり、大切です。

 でも、お願いする立場の総診的には、AFLであることさえわかれば、十二分です。