ECG-031:answer
ECG-031:87才女性。WQRSTの患者さんでした。
慣れると、すっぱと一発診断してしまうし、そうでないと、なかなか決断できませんね。
こつこつと、まず考えてみます。
*150/min.くらいの頻脈です。
*WQRSTは間違いありませんが、なんか、あぶない感じがしません。
(心電図上もそうだし、患者さんもニコニコしてます)
*CRBBBが、単に頻脈化しているようです。VTは、考えにくい。
*RRは、どこを見ても整っており、Afib.否定的。除外します。
*とすると、(洞性頻脈)(PAT)(AFLの2:1伝導)、あたりが候補となりますね。
*II, III, aVF では、残念ながらわかりやすいのこぎり波が、見えてこない。
*V1をじっとよく見ると、なにやら、Flutter波らしいのがあった。
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2:1伝導のAFLと考えますが、ERのドクターは、診断的治療として、ATP10mgのi.v.を選択しました。
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ATPが効果して、房室伝導が一時的に途切れました。この時に、F波がよく観察できています。
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この方には、ATP10mg少し、多かったかもしれません。
PSVT治療では、5.0mg→10mg→20mgを、ワンッショットします。
秒単位で分解されるので、ほんとうに一気に静注+後押し生食を入れます。
強力な迷走神経反射・嘔吐反射が出現します。(いきなり二日酔い状態、みたいな)
ですから、Full-stomachは、止めた方がいいです。
この方は、AFLなので、発作は止まりませんが、Flutter波を確認して、確定診断となりました。
その後、50Jで除粗動しました。次は、洞調律化した後の心電図です。
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もちろん、カテーテルアブレーションを、不整脈専門医にお願いしております。
この症例は、古典的なAFLではありません。II, III, aVFより、V1でF波がはっきりしていました。
AFLの型分類は、アブカテ屋さんには、手技上も問題もあり、大切です。
でも、お願いする立場の総診的には、AFLであることさえわかれば、十二分です。