ECG-042:answer
042:突然の心窩部痛・冷汗にて搬入された49才男性です。すぐにPCIされています。
急性心筋梗塞(下後壁)の典型的症例です。
*II, III, aVFでST上昇とaVLで、ミラーイメージとしてのST低下があります。
→この鏡面変化は、ACSでは、必ずと云っていいほど、出現します。
*V2-4でST低下あり。II,III,aVFのミラーイメージ的。
→後壁でのST上昇です。
*残った I, V5,6も変化はある。
素直に、下後壁のACSと考え、心エコーで確認します。
Tipsとしては、右心系の拡大がないかの評価です。右室梗塞の有無の評価ですね。
[右室梗塞]とは、血行動態が右心不全として問題を起こした場合を云います。
慣れないと、全誘導が揺らいでいる心電図は、わかりずらいかも。
また、胸部誘導でSTが大きく低下するのは、LMTに近い病変のこともあるので、要注意です。
その場合は、広範囲前壁梗塞としての壁運動障害ですので、鑑別は心エコーで簡単です。
第四病日の心電図です。
*ST変化は落ち着いてきました。
*II, III, aVFのT波陰転。 III,aVFはほぼQS pattern。心電図上の下壁梗塞完成のパターン。
*V2-4のST低下が無くなり、T波がちょっと高いか。
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第11病日の心電図です。症例039の胸部誘導と、ほぼ同じですね。
*II, III, aVFの冠性T波が消失しています。
*aVFにr波が回復しつつあります。
*V2-4のT波が、尖って高くなりました。後壁の冠性T波です。もちろん高K血症ありません。
*v1-2のR/S比は、1以下です。(当院の後壁梗塞は、少なくともV1では、これが多いです)
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これを、経時的に並べると、次のようになります。
症例039と同様に、この完成形(11病日)から、急性期心電図を想起できるように、なって下さい。
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