heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-043:answer

 ECG-043:52才男性。労作性呼吸苦で受診でした。今まで診断されていませんでした。

 ASD(心房中隔欠損)でした。

 今の時代に、成人期まで見逃されることは、少ないのですが、ASDは成人になるまで、何の問題も生じないことがけっこうある=出産もしてしまう=ので、たまに遭遇します。

 胸部レントゲンでは、左第 II 弓の突出が目立ちます。

 IV弓も、なんかまるい形です。

 心電図は、

*P波を読み過ぎないのが、私のやり方ですが、これはあまりにも尖ってます。

  →II, III, aVFで顕著です。よく見ると前半部分(右房成分)です。

*右軸偏位が著明。

*V1-6まで、R波が高い。

*特にV1では、R/S>>1で、V3くらいでR=Sとなる。いつもと逆。

*S波が、幅も広いけど、V4-6でとても深い!!

ストレイン型のST-T変化(陰性)が、V1-3に強い。

 これを、右室肥大と考えると、全てが理解できます。

 右室の表面に置かれているV1-2では、(LVH)のようなRVH所見です。

 右室の拡大により、移行帯は時計方向に大きく回っています。

 V5-6の深いS波は、RVHの影響です。

  →LVHの時に、V1-2に深いS波ができるのが、LVHの影響の逆ですね。

 この心電図所見に、肺動脈弓の拡大を添えると、圧負荷よりも、容量負荷を考えます。

◎肺血流シンチです。

  →明らかな欠損像はなく、反復する肺塞栓の結果では、説明できません。

 E043ri05129679lungscinti

◎造影胸部CTでも、肺動脈/右心系の拡大はありますが、血栓像は認めません。

Chestctce05129679

コントラスト心エコー像です。

 右ー左シャントが確認できます。

 この逆シャントは、まだ強いものでありませんが、一回目のstrokeですでに明らかです。

 この手の心電図は、最初なかなか理解しづらいですが、ある程度数を見ていくと、「これは肺高血圧の時間の経ったやつだな」と、思えるようになります。正解は、いつものように心エコーに任せます。心電図でも、ある程度推定できますが、エコーは当てれば、1分くらいで正解をくれますから。

(注:複雑な先天性心奇形は、手練れで無いと、すぐには解読できません。もちろん、心電図だけでもわかりません。)