ECG-044:answer
ECG-044:45才女性。労作時の呼吸苦です。
成人になってからのPDA術後の心電図です。PDAの開胸手術例では、
*左側胸部開胸例では、胸骨正中に切開創がなく、胸部レントゲンでもワイヤーが移らないので、気を抜いていると、手術の有無を見逃すことがあります。特に、患者さんがしゃべらない方だと。
*小児期の方が、手術は簡単で、成人例では、出血リスクがとても高くなるそうです。PDA閉塞ですので、人工心肺は使いません。この方は、昭和の時代に大阪で手術されています。その時に、大出血があったようで、術後下肢の麻痺が残りました。
心電図です。
*RVHとしてみると、V1-3の波形が理解できます。Tall-RもsST-T変化も、RVHによるものです。
*容量負荷による(Ao→PA)肺高血圧の所見です。
*II, III, aVF, V1のP波が尖っており、いわゆる肺性Pです。P波前半の右房成分です。
*右室の拡大で心室中隔は、後方回転し、移行帯がV6くらいです。
*V5,6の深いS波は、RVHの反映です。
*脚ブロックなしで、電気軸は90度強、というくらいか。
素直に、RVHと読み、病歴などから、原因疾患を読み解きます。すでにPDA閉鎖されてますので、心雑音では、判定できません。素直に、手術施設からの紹介状を読みたいですね。
胸部レントゲンです。なぜだか、肺野が荒れています。
心筋シンチです。
著名なRVHを呈しています。
当時の手術が難しかったのも、致し方なかったかと、思われます。