ECG-049:answer
ECG-049:77才女性。徐脈でした。かなり古い心電図なんです。12誘導心電図は、古くても新しくても、その意義は変わりません。
慢性心房細動の症例で、完全房室ブロックが出現しています。
リウマチ性連合弁膜症の患者さんで、ジゴキシンを使用されていました。中毒というほどの血中濃度ではありませんでした。潜在的な伝導障害もあったのだと、思います。
この心電図では、QRS幅は広くなく、比較的心室の高位の場所のリズム(HIS束レベルくらい)と考えられます。一時ペーシングを意識しながら、補液しつつ利尿を計るしかありません。透析は無効です。米国では、ジギタリス抗体の投与で、すぐに中和できるそうです。
(信じられない)でしょうが、昭和の時代では、ジギタリスは(心拍数調節)目的で、使用されていました。当然、血中濃度も高めにコントロールしました。トラフ値で、2.0±0.2ng/mLくらいでした。なお、2.6ng/mL(トラフ値)は、中毒域とされます。
心不全→腎血流低下→血中濃度上昇→HR低下し、強心作用強まる→尿量増える=愛でたし!
などと、うまくいくはずもなく。
心不全→腎血流低下→血中濃度上昇→徐脈・不整脈・食思不振(中毒症状)→緊急入院・トホホ。。
となっておりました。
当時は、中心用量は0.25ng/mLでした。しかも、2.0ng/mLを目指したのですから、問題が生じやすかったのです。
DIG studyで、1.0ng/mL以上は死亡率が増える可能性大!入院率が減る以上の御利益無し、となって、中心用量が0.125ng/mLとなりました。
中毒症例が減った理由です。
もし腎機能障害が出現し始めたら、ジゴキシンを投与をどうするか?
あぶない橋を渡らずに、投与中止して下さいね。
拡大すると、f波がよくわかります。
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