ECG-067:answer
ECG-067:78才男性。ランサップ投与後の心電図です。
私たちの見るQT延長は、ほとんどが二次性です。
低カリウム血症を除けば、薬剤性QT延長となります(言い切り!)。
抗不整脈薬でQTが延長するのは、作用機序そのものなので、仕方有りません。逆に、そのリスクを背負いたくなければ、使ってはいけないんですね。患者さんに迷惑ですし。
気をつけるべきは、抗菌薬・抗ウイルス薬・抗アレルギー薬・H2-blockerなど。
中でも、マクロライド系は、報告が多いために、有名です。
その気になって、問題の心電図を見ると、
【QTがびよ〜んと伸びている。特にT波が変!!】
と気付かれると思います。U波も変ですね。
この時の、血清カリウム値は、4.7mEq/Lでした。
お師匠さんのご本に、
〔QT延長を「長さ」で考えるとわからなくなります。QT延長は、T波の形で捉えて下さい。〕
とありました。
ランサップには、大量のマクロライド系薬剤が入っています。でも、誰でも、QT延長が発生する訳ではありません。また、抗不整脈薬以外の薬剤でのQT延長はそんなに、あぶない不整脈発作(TdP)は起きないようです。怖がってばかりいたら、何もお薬は使えなくなります。
この症例は、低カリウム血症も無く、自覚症状(動悸・失神)がないために、経過観察としました。
ランサップ投与前の心電図です。(血清カリウム=4.3mEq/L)
クリックすると、ECGが拡大します。
ぼくは、すぐにQT延長は改善するだろうと思っていました。
でも、ランサップ投与後6日経過しても延長したままです。少し、心配になりました。
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結局、約一ヶ月後に心電図再検して、問題なくなりました。
クリックすると、ECGが拡大します。
低カリウム血症のない薬剤性QT延長症候群=自覚症状なし=では、原因薬剤の中止以外に、やるべきことはありません。じっと経過を見るだけです。
VTが発生したら、硫酸マグネシウムを投与したり、心室ペーシングしたり、イソプレテノール点滴をしますが、決定打なかなかありません。
「循環器科の医師を呼べ〜!!」
が、正解です。丸投げで、お願いします。