heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-067:answer

ECG-067:78才男性。ランサップ投与後の心電図です。

 私たちの見るQT延長は、ほとんどが二次性です。

 低カリウム血症を除けば、薬剤性QT延長となります(言い切り!)。

 抗不整脈薬でQTが延長するのは、作用機序そのものなので、仕方有りません。逆に、そのリスクを背負いたくなければ、使ってはいけないんですね。患者さんに迷惑ですし。

 気をつけるべきは、抗菌薬・抗ウイルス薬・抗アレルギー薬・H2-blockerなど。

 中でも、マクロライド系は、報告が多いために、有名です。

 

 その気になって、問題の心電図を見ると、

【QTがびよ〜んと伸びている。特にT波が変!!】

 と気付かれると思います。U波も変ですね。

 この時の、血清カリウム値は、4.7mEq/Lでした。

 お師匠さんのご本に、

〔QT延長を「長さ」で考えるとわからなくなります。QT延長は、T波の形で捉えて下さい。〕

 とありました。

 ランサップには、大量のマクロライド系薬剤が入っています。でも、誰でも、QT延長が発生する訳ではありません。また、抗不整脈薬以外の薬剤でのQT延長はそんなに、あぶない不整脈発作(TdP)は起きないようです。怖がってばかりいたら、何もお薬は使えなくなります。

 この症例は、低カリウム血症も無く、自覚症状(動悸・失神)がないために、経過観察としました。

 ランサップ投与前の心電図です。(血清カリウム=4.3mEq/L)

E0670695366678mqt4_4

クリックすると、ECGが拡大します。

 ぼくは、すぐにQT延長は改善するだろうと思っていました。

 でも、ランサップ投与後6日経過しても延長したままです。少し、心配になりました。

E0670695366678m05qt4_19

クリックすると、ECGが拡大します。

 結局、約一ヶ月後に心電図再検して、問題なくなりました。

E0670695366678m07qt5_11

クリックすると、ECGが拡大します。

 低カリウム血症のない薬剤性QT延長症候群=自覚症状なし=では、原因薬剤の中止以外に、やるべきことはありません。じっと経過を見るだけです。

 VTが発生したら、硫酸マグネシウムを投与したり、心室ペーシングしたり、イソプレテノール点滴をしますが、決定打なかなかありません。

循環器科の医師を呼べ〜!!」

 が、正解です。丸投げで、お願いします。