heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-070:answer

 E070:82才男性。外来患者で安定状況です。

 心電図所見は、

◎ 洞調律

◎ 高電位 + ST-T change (strain pattern) = advanced LVH

◎ 軽度左軸偏位(あまり気にしなくて良い所見)

 ST-T変化は、I,aVLと側壁までしっかりとある。

 なんらかのLVHの原因があるはずである。

 →長期に渡る高血圧(数年でこういう心電図変化は出ないし)

 →肥大型心筋症の存在

 →大動脈弁疾患の存在

 などをまず考えますね。

 HCMの場合は、もっとひねくれたST-T変化しそうだけど、

まあ、心電図だけでは判定はできません。

 この症例は、ARによる心不全既往有る患者さんでした。

 ARの場合、その逆流により、左室腔が拡張するので、胸部電極と左室の

距離が狭まります。よって、ASよりも派手な心電図変化が出やすいんですね。

 なお、上記の鑑別は、血圧測定(と治療歴の問診) & 心エコーで決着が着きます。

 心エコーがあれば、(心電図で疑問だった)たいていのことは、わかります。不整脈以外は。

 でも、12誘導心電図は廃れません。不整脈診断以外でも。

 そのあまりの手軽さと、情報量の多さと、安全性のためですね。

 心電図を過信せずに、有効活用しましょうね。