ECG-070:answer
E070:82才男性。外来患者で安定状況です。
心電図所見は、
◎ 洞調律
◎ 高電位 + ST-T change (strain pattern) = advanced LVH
◎ 軽度左軸偏位(あまり気にしなくて良い所見)
ST-T変化は、I,aVLと側壁までしっかりとある。
なんらかのLVHの原因があるはずである。
→長期に渡る高血圧(数年でこういう心電図変化は出ないし)
→肥大型心筋症の存在
→大動脈弁疾患の存在
などをまず考えますね。
HCMの場合は、もっとひねくれたST-T変化しそうだけど、
まあ、心電図だけでは判定はできません。
この症例は、ARによる心不全既往有る患者さんでした。
ARの場合、その逆流により、左室腔が拡張するので、胸部電極と左室の
距離が狭まります。よって、ASよりも派手な心電図変化が出やすいんですね。
なお、上記の鑑別は、血圧測定(と治療歴の問診) & 心エコーで決着が着きます。
心エコーがあれば、(心電図で疑問だった)たいていのことは、わかります。不整脈以外は。
でも、12誘導心電図は廃れません。不整脈診断以外でも。
そのあまりの手軽さと、情報量の多さと、安全性のためですね。
心電図を過信せずに、有効活用しましょうね。