【コラム-010】心房粗動ののこぎり波
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心房粗動(Atrial Flutter : AFL)は、ネズミでは発生できないようです。心房内を(電気的に)クルクル回るのに、小さすぎるようです。人間の心臓の大きさが、ちょうどいいんですね。
通常は、三尖弁の周りをぐるぐる回ります。このために、II, III, aVF誘導で、きれいな「のこぎり波」が出てきます。
でも、開心術後などに、心房にできた傷を回るAFLもあり、旋回方向が立体的に異なるので、診断も難しくなります。特に、心房頻拍との鑑別ですね。
12誘導心電図のみで診断困難例もあり、「体表面心電図」の利用も必要で、こうなると不整脈専門医のご協力が必要です。
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あんまり難しく考えず、
*II, III, aVF誘導で、のこぎり波があったら、common type-AFL
*そうでないのは、uncommon type-AFL
と、考えて良いようです。
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なぜなら、実際に深く考えないといけないのは、カテーテル・アブレーションを行う医師達(だけ)だからです。だって、手技に関連しますから。
なお、common type-AFLの方が、圧倒的にアブカテの成功率が高い。
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三尖弁周囲の旋回は、IVCと三尖弁の間の狭い部分でゆっくりとなります。のこぎり波が、急峻な部分となだらかな部分に分かれます。
また、通常型心房粗動で見る「のこぎり波」は、下向き(陰性)と表現されます。
反時計方向回転している場合が、私たちの見慣れたFlutter波形です。
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心房粗動の治療は、カテーテル・アブレーションが 1st. choice です。
抗不整脈薬での、除粗動・発作予防は、まず無理です。
せいぜい、rate sontrolのみですよ。(β-blocker,verapamil,etc.)
もちろん、緊急時の電気的除粗動はありです。
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通常型心房粗動(common type-AFL)では、
{common typeの興奮旋回路としては、心房中隔および右房後壁を上行し、右房側壁および前壁を下行する反時針式に回る旋回路が認められています。}
と、沢山先生のwebsiteに、解説されています。
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あと、心房粗動時に、激しい運動をさせて交感神経優位にしたり、抗コリン作用のある薬剤を使って、房室伝導を促進させるのは、もちろん御法度なんです。
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