ECG-086:answer
26才の男性、突然の呼吸停止でした。
救急車内でDC施行とありますように、これはVTです。
CRBBB+上方軸となります。
V5,6でr<<<Sであることも、VTを強く示唆します。
CRBBB型なるも、V1の波形はけっこういびつです。
VTを、CRBBB型とか、CLBBB型とかに分類しますが、普通の(洞調律)の脚ブロックとは、やはりかなり形が異なります。
普通のCR(L)BBBの形をした頻脈は、むしろ、脚ブロックを伴ったPSVTや2:1伝導のAFLを示唆します。
また、I 誘導で、かなり右軸偏位してますので、発火部位は、左室側壁よりの可能性が高いようです。
でも、最終的には、体表面mappingやEPSをしないと、どこが本当のリエントリー形成部位かは、わかりません。あくまで、予想に止まります。
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この症例の洞調律復帰直後(20分後)の心電図です。
クリックすると、ECGが拡大します。
◎ CRBBB波形が残っています。
◎ II 誘導, V2等で、はっきりと P 波が確認されます。
◎ 少しnotchあるも、あまり変な心電図ではないようですね。
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発症三ヶ月後の心電図です。
クリックすると、ECGが拡大します。
CRBBBも消え、かなり正常な心電図波形に戻りました。
この症例は、心エコー上はHCMパターンでした。
心電図からは、想像しにくいのですが。
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症状も無く、家族歴上のトラブルもないHCMは、何事も起きずに、のんびり経過する症例も沢山あります。でも、この症例のように、突然のpulseless-VTで、奪われてしまうこともあります。その後、胃瘻を作成されて、全介助の状態となっております。
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