heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-096:answer


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ECG-096での12誘導心電図の意義。私の考え方です。

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 この患者さんにおいて、12誘導心電図は、直接的に診断に寄与していません。
 では、余計な検査、あるいは無益な検査だったのでしょうか?
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 心電図で、著名なST上昇や冠性T波が、新たに出現すれば、理解は容易いです。
 この症例では、心電図は動かず、幸い心筋酵素系も著変ありませんでした。
 少なくとも、緊急のPCIの必要性はないし、この症例も緊急での処置はしておりません。(第4病日でPCI施行)
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 この心電図への考え方です。
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◎ そもそも、この症例は虚血発作ではなかった。(これも考え方では、あります)
◎ 緊急性を持つ虚血ではなかった。(ST-Tのactiveな変化なし)
◎ 心エコーの壁運動と合わせ、重篤な障害が、まだ生じていない。
◎ つまり、助ける価値の高い状況である。
◎ 心電図の穏やかさは、心筋のviabilityの高さを示唆します。
◎ 経時的に12誘導心電図を記録することで、新たな変化をcatchできます。
◎ 最大の利点は、超低侵襲で、心筋虚血の情報を沢山得ることです。
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 心筋虚血を疑った時点で、12誘導心電図は、何回記録してもよいのです。
 それにより、失うものはありません。経時的に、変化が出現することも、よくあります。症状のなくなった翌日に、冠性T波が認められることも、度々あります。
 この症例では、運良く、心電図変化は、出現しませんでした。それだけ、問題が生じないうちに、加療できた訳です。薬物療法のみで、加療を続ける立場もあるでしょう。しかし、このMultiple-Riskで有症状の患者では、PCIを選択しますね。
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 ECGが正常であるとは、ECGが正常だと云うことです。
 ECGが、私たちを欺すわけでは、ありません。
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(追補)
 2枚目の心電図の II, III, aVFでは、よく見ると、notchが増えているように見えます。これは、4AV領域の虚血の結果かもしれません。でも、これだけで、虚血性変化と言い切るのはね、、、。
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