ECG-102:answer
ECG-102:46才男性です。ぱっとしない胸部不快発作で、深夜にER受診でした。
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もう、迷いません、悩みません。
ACSとして、対応しました。循環器医callです。
回旋枝 Seg-13の完全閉塞へのPCIを行いました。
さて、来院時のECGを、もう一度見てみましょう。
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◎ 洞調律です。脈拍数は安定。(70/min.)
◎ I, aVLで、ST上昇にも見える。(後付けの評論家かも?)
◎ II, III, aVFで、若干ST低下。III, aVFで、T波陰転。
◎ III誘導にQ波。
◎ V2-5のST-Tが、なんか変。ちょいST低下ありかも。
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胸痛+心エコーで後壁の壁運動障害あれば、ACSとして扱うべき。でも、この時点での医師のエコー(=慣れた技師さんではない)では、壁運動障害を、指摘できていません。
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この症例では、症状にいかに(重み付け)するかでした。もちろん、この重み付けは、半分(医者の感)です。40代の若さですが、高血圧・脂質異常症・喫煙のリスクが多重していました。レッドフラッグが立ちそうですね。
でも、ですね。
☆ ACSと思ったが、 →GERDだった。
☆ ACSと思ったが、 →アルコール性膵炎だった。
☆ ACSト思ったが、 →二日後に、帯状疱疹が水疱で判明した。
などと云う経験累積後だったりすると、深夜に循環器医師Call(たたき起こす)に、若干のためらいも、そこはかとなく生じることもあります。
でも、VT出現で、決断がなされました。
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第10病日の心電図です。
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◎ I, aVLのST上昇は、戻ったようです。
◎ aVFのR波はほとんど無くなりました。
◎ II, III, aVFの陰性T波が無くなり、一見正常化しました。
◎ V2-5のT波が陽性化しています。特にV2,3は後壁の冠性T波かも。
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比較すると、なんか怪しいけれど、個別に見ると、ピンと来ないかもしれいません。この間に、max-CPK=4818(MB=240)となっております。
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こういう事もあるのだと、経験されて下さいね。
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