ECG-110:answer
ECG-110:62才男性。労作性の呼吸苦で入院でした。
心電図ですが、、
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◎ 洞調律です。
◎ 肢誘導が low voltage.
◎ aVR=aVLで、I 誘導もR=S。たぶん立位心。
◎ II, III, aVFが、Q波に見える。でもST-Tは問題なさそう。
◎ 拡大してよくみると、Q波じゃ無くて、複雑なQRS波形か?
◎ S-I,II,IIIパターンと云えないこともない??
◎ V1-3で、QSパターン。
◎ 移行帯は、V5近く。
◎ pulmonary-P風にも見える。(II,III,aVF)
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病歴も加味すると、右心系への負担像?COPD?
もしかして、pseudo-MI pattern?
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悩んでも仕方ないので、胸部レントゲンです。
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よく見ると、右肺がないみたいですね。少なくとも、横隔膜直上は、明らかに気胸の状態です。でも、正常肺がどこなのか、よく(・_・?)わからない。
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よって、胸部CTも記録してみました。
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あらあら、右肺ほとんどないし、左肺も、大きなブラが多数有ります。残存部もどれだけ機能しているか、怪しいもんです。
普通大慌てですが、この方は以前より、この状態です。トロッカーを入れるべきか、否か、などとはあんまり悩みません。
「せんせい、どうして私は動くと、息が苦しくなるんですかね?」
「それは、肺があんまり無いからなんですよ。」
と云う会話が、毎日の挨拶代わりでした。
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心エコーでの壁運動障害はありません。右室圧は、さすがに上昇していました。
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この心電図から、この荒廃した肺の状態を推定せよ、は無茶だと思います。しかし、なんかおかしいなあ。右心系か・肺か、どっちかがおかしいよね。。と思って頂けたら、いいんです。
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教科書に載せられるほどの、典型例ではなでしょうが、実臨床はこんなのばっかりですよ。
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