heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-130:answer

ECG-130:51才女性。胸部不快発作にて、ERへ来られ、すぐに心電図を記録しました。診断確定ですね。

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ACS:Acute Coronary Syndrome
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 ERでは、なんだかんだ云っても、ACS診断は、まず12誘導心電図で行います。
 心電図のすごいのは、典型例において、これだけで確定診断となることです!
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 病歴も、理学所見も、血液検査dataも、不要です。
 とは云っても、胸痛・意識障害・ショックなど、心電図を記録する理由があるから、施行するんですけどね。
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 この症例では、
◎ 洞調律
◎ V1-3の QS pattern. (よく見ると、small-r ありますけど)
◎ V2-5の明らかなST上昇(V6も少し上昇しています。)
◎ 急性期〜亜急性期のACSしか、考えられません。
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 すぐに、ACSと診断することで、次の行動が決定されます。
 
▼  バイタルサインを安静させる。
▼  循環器科緊急call or PCI施行可能な施設への転送。
▼  PCI可能な状況かの判定(腎機能など)
▼  etc....
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 もちろん、12誘導心電図のみでは、ACSか判断に悩む症例は、いくらでもあります。逆に、この症例のように、心電図だけで=胸痛ありならば=診断確定される症例も多々あるのです。
 日野原先生は、病歴を取りつつ、平行して、診察を行い、診断絞り込みを外来で行います、と云われていました。(動悸・体重減少を聞きつつ、頚部甲状腺の触診をするなど。。)
 胸痛と聞いただけで、お話しをしつつ、すぐに心電図記録はありです。
 特に、顔つきをみただけで、上記行動開始は、よくあります。
 すぐに行動変容すべき心電図所見がないことの確認、でもいいんです。
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 病歴を十二分に聞いて、それから診察へ・・・は、安定している患者さんでのお話しです。胸痛患者の「とりあえず、心電図!」は、過剰診療でないことを、覚えて置いて下さいね!
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(PCI開始直前のcontrol-CAGです。RCAからの側副血行はありません。LAD Seg-6での完全閉塞像です。広範囲前壁の急性心筋梗塞でした。)
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E130acscontrolcag

クリックすると、拡大します。
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 この症例の経時的心電図変化です。
 V1-5のST上昇がしだいに落ち着いてきています。
 V1-4は、ほとんどQS-patternとなりました。

E130timeflowecg

クリックすると、ECGが拡大します。

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