ECG-135:answer
ECG-135:94才女性。ショートステイ先で、徐脈を指摘されての入院でした。
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徐脈の解析は、
◎ 洞調律か? 洞性徐脈。洞停止。
◎ P波がない? 徐脈性心房細動。
◎ Flutter波か? 心房粗動の4:1以下の伝導低下。
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◎ 房室ブロックか? P波とQRS波との関係性の評価。
(おまけに、房室解離もありますが。。)
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さて、この症例は、房室ブロックです。
何度の房室ブロック(AV-block)か?が問題となります。
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問題として、提示した心電図では、2:1 AV-blockに見えますね。
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◯ 洞調律なるも、2:1 AV blockと思われる。
◯ IRBBBである。
◯ 左軸偏移である。
◯ PP間隔は等しい。
◯ RR間隔も等しい。
◯ PR間隔も、伝導している部分では、等しい。
◯ PR伝導は、2回に1回成功している。
◯ LVHみたいに見える。
◯ 徐脈のくせに、P-rateが、速くない。
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上記のように思えます。今回、ねちっこく判読しました。
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今回の心電図の問題点は、
● 不整脈解析用としては、記録が短すぎることです。
● AV伝導の反復性を、もう少し確認しないと、規則性の判断を間違うかもしれません。緊急性がない場合には、慌てないのが、コツです。
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II 誘導のみで、記録を長めにしてみました。
クリックすると、ECGが拡大します。
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2:1 AV blockが、きちんと反復されているのが、確認されます。
PR間隔は、しだいに延長せず、いつも一定です。
Wenchebach AV block(Mobitz-1型)ではなく、Mobitz-2型で決定です。
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P波があまり速くないことは、重要な所見です。
血行動態が、破綻していたならば、交感神経が興奮し、P-rateは速くなります。これは、危険なサインです。早めにペーシングすべきです。
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どのようにMobitz-2型のAV-blockと判断したのか、別の記録で、確認してみましょう。
クリックすると、ECGが拡大します。
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● PP間隔が、一定です。
● RR間隔が、一定です。
● PR間隔が一定で、P波は2回に一度、QRSと連結します。
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たまたま、3度房室ブロックが、2度房室ブロックのように見えていた訳ではないのですね。
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しかし、この症例を病棟で、連続記録していると、房室電導は、目まぐるしく変化しているのがわかります。
クリックすると、ECGが拡大します。
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房室ブロックは、経時的には、変動する場合が、けっこうあるんですね。
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【房室ブロックは、自分が納得するまで、十分に長い心電図記録をすること!】
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