heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-151:answer

ECG-151:81才男性。浮腫と息切れと動悸で内科外来受診でした。

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 ちょっと、F波がわかりにくいですが、Atrial-Flutterの、2:1伝導です。
  さらに、CRBBBですね。
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 Tachycardia-induced cardiomyopathy
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 と云う概念があります。
 一日16万以上の心拍数だと、エネルギー消費大で、かつ有効心拍出量が得られず、心筋が疲れてしまい、DCM様になってしまう、と云う概念です。
 頻脈性の心房粗動なので、rate-controlか、洞調律化の選択が必要です。
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 この患者さんは、rate-controlのために、さらに心機能抑制のある薬物投与は、難しいと考えましたので、150J-DCでの除粗動を施行しました。1回で成功しました。
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除粗動後の心電図です。

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クリックすると、ECGが拡大します。

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 胸部誘導のT波が、ひっくり返りました。だいぶ心筋が疲れてしまったのでしょう。

よく見ると、QRS幅も、狭く(スマートに)なっています。

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 さて、なぜ心房粗動になってしまったのか?

 ピルジカイニド(サンリズム)が、犯人の可能性があります。

 いわゆる「Ic-flutter」です。

 Vaughan-Williams分類で、ピルジカイニドは、Ic群に分類されています。この群は、心房粗動を固定化してまうリスクがあります。また、ほぼ腎排泄性ですので、腎機能の悪い患者には、血中濃度の異常上昇となる危険性があります。

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【 Ic群抗不整脈薬は、AFLを固定化するリスクがある 】

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 ならば、肝代謝性の抗不整脈薬(ex.アプリンジン)だとよいのか?(Ibだし)

 C型肝炎・肝硬変・肝癌で、恐くて使えません。

 だいたい、心房粗動を薬理学的に除粗動するのは、無理筋です。

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 電気的除粗動→カテーテルアブレーションをお願いする、が本筋です。

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この方は、認知も問題も強く、肝障害・腎障害で、抗凝固療法もあきらめて、娘さんに見守られながら、施設での暮らしに戻られました。

 腎機能低下患者に、ピルジカイニドを持続投与して、中毒状態となった症例の提示。

(ECG-105:80才男性。糖尿病性腎症で、嘔吐・脱力でERへ)

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