heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-154:answer

ECG-154:81才女性。労作時の胸部不快感での入院となりました。

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81才の女性です。HOCMでした。

 収縮期雑音がErbの領域にあって、労作時の息切れ・胸痛あり、しかも冠動脈は問題なし。となれば、当然大動脈弁狭窄が鑑別診断の一番手に上がってきますね。

 心電図上は、著しい高電位ではありませんが、ST-T変化が左室肥大を感じさせます。Criteriaではなく、印象です。これで、症状も無く・心雑音もなければ、おしまいなのですが、上記症状があります。心エコーは、必須ですね。

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 心エコー上は、二番目に鑑別に上がってくるHOCMが認められました。

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 この症例は、シベンゾリンの投与で、圧格差が減少しています。

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心電図と臨床所見で、検査を進めるべき方向性が見えてくる】

この心電図だけでは、必ず検査を進めるべきとは、云えません。臨床情報を重ね合わせることで、心電図の持つ意義も、変わってくるんですね。

 なおこの方は、β-blockerでは左室流出路の圧格差は軽減せず、シベンゾリン投与で園改善が、得られた症例です。

 薬物による左室流出路の圧格差軽減に、Ia群の抗不整脈薬が使われることがあります。Ia群のお薬は、心機能抑制が強いのが欠点ですが、ここを逆手にとった治療法なんですね。シベンゾリンはジソピラミドと違い、抗コリン作用による口渇・尿閉が少ないので、使いやすいのです。時に、ワ~ォ!!と云いたくなるくらい効きます。でも、時にです。これがダメだったら、他の侵襲的な方法に移る、と云う手順ですね。

 

 なお圧格差がある、というだけで治療をする必要はありません。患者さんが困っている=失神、心不全、胸痛発作=症例で、治療を考えましょう。

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‎www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2012_doi_h.pdf

 

肥大型心筋症の診療に関するガイドライン

(2012 年改訂版)  p-32

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