ECG-179:answer
現在、81才となった男性です。
認知症の終末期だった妻の看取りを行い、自身の消化器癌の治療を繰り返したのが、この8年間でした。
恰幅のよい方でしたが、とても痩せてしまいました。
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胸部レントゲンを見るときに、皮下脂肪にも目をやって下さい。(*と↓)
この8年で、胸部の皮下脂肪は、ほぼ消失しています。胸壁部の筋肉もそげてしまい、肋骨(あばら骨!)が、くっきりとしております。
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. 心臓と胸部誘導の電極までの距離は、とても近くなってしまいました。 .
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胸部誘導での起電力が、増しているのが分かりますね。
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このように、
* 胸壁の厚さの変化(肥満・やせ・著明な浮腫・ハルステッド手術後)
などは、心電図上の電位・ST-T変化の原因となることがあります。
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と、単純に云う事が出来れば、美しい結論なのですが、実際はそううまくいきません。
こんなに胸水があるのに、肺炎がひどいのに、心電図は少しも変化しない例も、結構有るんです。
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心電図が変化している場合には、何かが起きたのでは?と、推察するのはよいことですが、変化していないから大丈夫・・は、全然云えません。
心電図は、その変化に注意していると、時々大切なことを囁いてくれている、と考えて下さい。
もちろんこの症例では、(患者さんの体を直接見ること)が、一番の気付きなんですけどね。
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