ECG-196:answer
60才代の女性でした。
若い頃に、SAH(くも膜下出血)を患い、臥床状態・意思疎通困難が続いていました。CKDの進行で、高カリウム血症となり緊急搬入。一度は透析で凌いだものの、再度の透析は施行しない方針となりました。
今回は徐脈となり、K=8.2mEq/Lとなった時のモニター心電図でした。
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まず、P波がなくてT波が尖っている。再度の高カリウム血症がやって来たな、と予感させるモニター心電図です。(P’については、後述)
でも、モニター波形のHR=106bpm。。
どうもモニター心電計は、QRSとT波をダブルカウントしたようです。
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1080ms.くらい。これで計算するとHR=55bpmと、表示の約半分です。モニター心電計では、このQRSとT波のダブルカウントは、よくあります。
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モニター心電図で、高カリウム血症を疑うのいいんですが、やはり12誘導心電図で、何が起きているのか?確認する必要があります。
血清カリウム値測定と12誘導心電図記録を、同時に行いました。
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モニター心電図の波形は、II 誘導に似ていますね。(そのように、電極を貼っている訳です)
R波とT波の高さが同等で、wide-QRSなので、どちらもQRSと心電計は判断したんですね。
さて、モニター心電図計で、*で表しているST部分のnotch様の出っ張り。QRSと異なり、ST-T部分にこのような変化は起きないんです。P’を疑ってしまう。これも、12誘導で再確認です。
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.どうみても、P’ですね。Beat by beatで、反復しています。
II, III, aVFで、陰性波形です。逆行性伝導としか、考えられない。
Sino-ventricular conductionで、P波が無いんだ・・と最初はうっかり読み落とすところでした。。
【今回の教訓】
* モニター心電図は、時々ウソとつくので、要注意です。あなたのeye-ballで補正して下さい。
* モニター心電図で、おかしいと思ったら、必ず12誘導心電図再確認しましょう。
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