heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-198:answer

 **結論を先に**

 左気胸とわかっっている症例に、診断目的の12誘導心電図は不要です。

 気胸の確定診断は、レントゲンです。症状と理学的所見から、気胸を疑うことはできても、確定はできません。

.

 では、心電図は何か役に立つでしょうか?

 胸部誘導は、Low-voltageとなりそうですね。これだけ心臓と胸部誘導の間に、絶縁体(=空気)があるのですから。

 この症例の、気胸前後の胸部誘導心電図を、経時的に比較をしてみましょう。

.

Ecg1983forweb_2

クリックすると、ECGが拡大します。

.

.

 

 さらに、V3-5の部分の拡大表示です。

.

Ecg1984v35forweb

クリックすると、ECGが拡大します。

.

.

 確かに、左気胸時は、V3-5のQRS高が低くなっています。

 胸部CTだと、左心室と胸壁の間は、完全にairのみです。この低電位化は、有力な(気胸の予測因子)となり、胸部レントゲン撮影前の左気胸診断前確率を、高めそうな気もします。

.

.

 別の症例を、見てみましょう。

 80才代女性で、気胸はない症例です。何の症状もありません。

 これで、胸痛を訴えて来たら、気胸も考えたくなります。

Ecg1985050148772015121083womannopne

クリックすると、ECGが拡大します。

.

.

.

 確かに、重度の(=虚脱率の高い)左気胸では、胸部誘導のQRS高は軽減しそうです。幸運にも、左気胸出現前の心電図と比較できれば、なお役に立ちそうです。

 でもね。

 臨床的に役に立つとは、感度・特異度が出来るだけ高くて、

  • rule out → これは気胸では無いと、除外できる。
  • rule in    → これは気胸だと、確定できる。

 と云うことなんです。

=今回の教訓=

【左気胸の診断のために、12誘導心電図を急ぎ記録する理由はない】

【胸部誘導のQRS高は、虚脱度が高いと、減少する可能性がある】

【結局、レントゲンを撮るしか、診断には到達しない】

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.