heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-200:answer

**結論を先に**

 今回の入院に先んじて数年前に、回旋枝(#13)の完全閉塞を示したACS症例でした。緊急のPCIが施行されています。

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 この心電図で、虚血の名残を伺わせるのは、II, III, aVF にあるQ波です。

 Q波が、異常であるか・ないかを決めるのは、その深さではなく、幅です。0.04秒以上(=1.0mm・25mm/秒の紙送り速度)です。

 正確にQ波の幅を計るのではなく、「なんか幅広いQ波だよね。」と、感じ取るだけで良いんです。

 この心電図では、II, III, aVF のQ波は、幅広く感じますね。さらに、ちゃんと II 誘導にQ波があります。

 陳旧性下壁梗塞との診断が、妥当ですね。

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 さて、回旋枝病変でしょうか?右冠動脈病変でしょうか?

 残念ながら、慢性期心電図でこれを読み取るのは、困難です。

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 心エコー動画を見ても、下後壁領域の障害とわかっても、LCX/RCAどちらの病変かは、わかりません。

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 では、急性期の心電図を、見てみます。

Ecg200lcxomiforweb

クリックすると、ECGが拡大します。

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II, III, aVF では、異常Q波・冠性T波を認めます。

*側壁の虚血としてのV6の陰性T波の存在。

*後壁の冠性T波のミラーイメージとしての、V1-4の尖りT波。

*高位側壁の急性虚血の判定か、aVLのST上昇。

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クリックすると、ECGが拡大します。

 ECG-199でお示しした法則だと、回旋枝のACSでは、II>III 誘導のST上昇となるはず。でも、この症例ではハッキリしませんね。と云うより、ちょっとST低下気味。すでに、ST上昇期は終わっていたようです。

 この法則は完璧では無く、急性期とは云え、その発症からの時間にも左右されます。第一、ACSで必ずST上昇を示す訳ではありませんし。

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 ACSであることが分かれば、RCAか、LCXかを心電図で判定することに、あんまり意義はありません。

 AVL誘導のST上昇もあることから、回旋枝病変の可能性を、少し示唆するかと、思います。

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 ECG-199のバリエーションとして、今回は提示しました。

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