ECG-244:answer
悩ましい心電図です。
II, III, aVF のST上昇は、すぐに気付くと思います。持続する胸痛ですから、まずはACSほぼ決め打ちで、ERの加療は開始されます。
若いですけど、40才以下もACSは5%くらいは、普通にあります。
aVLでのミラーイメージST低下が、イマイチなのは気になります。
後壁の壁運動低下も、心エコーで確認されました。後付けですが、酵素系では、CPK-710。トロポニン-I=22.7でした。発症後6時間くらいの検査結果ですね。
このまま、緊急カテでもOKです。Time is muscleです!
でも、もう一度12誘導心電図を、しっかりと見てみましょう。
VL5,6にも、しっかりしたST上昇が認められます。
II, III, aVF のST上昇はあるも、II, III, のどちらのSTが高いのか?よくわかりません。
aVLでのミラーイメージST低下が、わからない(・_・?)。
下壁と側壁での、虚血性変化が有るわけです。
虚血の責任病変が、右冠動脈か・回旋枝か?
悩みつつの、緊急冠動脈造影開始です。
回旋枝の#14の完全閉塞でした。
☆☆☆は、PCIのballoon拡張です。
再疎通#14後は、側壁と一部下壁を支配しています。
経時的心電図変化を、見てみましょう。
V5,6と II, aVFで、異常Q波またはQS patternが発生しています。
この#14の走行にぴったり一致していますね。
またaVLに対して、きれいな対側となっておらず、ミラーイメージとしてのST低下が起きなかったようです。
残念ながら、V7,8,9は、記録されておりません。
結論は、いつも同じですが、
【 回旋枝か、右冠動脈か、ACSの責任病変を心電図で確定するより、ACSだ!と気付くことが、大切です 】
となります。
(心尖部四腔像)
側壁の壁運動低下が、示されています。
(心尖部二腔像)
下壁の壁運動低下。systolic thickningの減少です。
(左室短軸像)
5時~8時方向の壁運動低下です。むしろ、10 ~3時方向の代償性過剰運動と考えた方が、分かりやすいかと、思います。
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