ECG-250:answer
80才代女性で、安定状況での外来管理中です。
発作性心房細動の既往がありますが、Holter-ECGを含め、ここ5年ほど発作は出現しておりません。でも、抗凝固療法を止めることが、私はできません。
【 肥大型心筋症の心房細動症例は、心原性塞栓が起きやすい 】
と云う、tipsがあります。
この症例は、典型的肥大型心筋症の心電図です。
- ◎ 左室の著明な高電位です。
- ◎ ST低下と対称性と単純に云えないST低下。独特な形です。
- ◎ I , aVLと、側壁まで認める、しっかりした左室負荷像。
- ◎ 心尖部肥大を、強く示唆しています。
- ◎ 但し、流出路狭窄の有無は、心電図では分かりません。
この心電図を見ただけで、HCM or HOCM と分かる方には、不要な解説でした。
なお、
で、心エコー図です。
(ECG-250-左室長軸断層)
*左室の肥大が、明瞭ですね。
*収縮性は、良好です。
*非対称性肥大・・とは云い難い。
*SAMも、わかりますね。
(ECG-250-左室短軸断層)
*左室の短軸で、Maron分類の I~IVに、当てはめますが、、
*7時方向が僅かに肥大を免れるだけ。
*なんとも、云いにくい。
(ECG-250-心尖部肥大)
*最近の心エコー機は、近位分解能の高いので、心尖部肥大がある程度分かります。
*以前は、心筋シンチかMRIで、鑑別していました。
(ECG-250-左室心尖部よりB/WとcolorDoppler)
*流出路の加速血流が認められます。モザイクの信号です。
*SAMが認められる部位です。
この心電図は、見ただけで、HCM(HOCM)を想起させるんだ、とご理解下さい。
また、発作性心房細動を合併したHCM(HOCM)は、心原性脳塞栓を起こしやすいことを、忘れないで下さい。