ECG-260:answer
徐脈をERで認めたら、
などの鑑別で、まずACSを除外して下さい、すぐに! お約束ですね。
三日前から、調子を崩していたようです。しかも、徐脈です。
他の結果が出るのを待たず、ACSか否か、心電図評価です。念のため、右側胸部誘導も。
クリックすると、ECGが拡大します。
* 徐脈です。
* III、aVF のST上昇あり。
* I, aVL のST低下あり。
→II は、知らん顔していますが、普通に下壁梗塞を想起します。
→V4-6も、ST低下あり。連動した変化のようです。
* VR3-5 のST上昇あり。右室梗塞もありそうです。
→発症から三日経っているはずなのに、まだ変化が残っています。
クリックすると、ECGが拡大します。
* PRWPで長めの記録でも、ハッキリとP波と呼べるものがありません。
→3,7拍目のQRS の前には前にはP波がある気もする。
→2拍目のSVPC の様の早期収縮の前(=1拍目のT波)に、P`が乗っかって
いるようにも、見える。
→でも、基本的に洞結節は、疲れ切っているようです。
* 搬入時の5.7mEq/Lでしたので、sino-ventricular conductionでP波欠損かもしれません。BUN/Cr=59/2.21(mg/dL)と、脱水でもありました。
次は、緊急カテの所見です。一時ペーシングしています。
右冠動脈(#1)で、見事な完全閉塞です。
洞結節が元気がないのも、うなずけます。
なお、心エコーでは、右室梗塞を合併していました。
第二病日の心電図です。
クリックすると、ECGが拡大します。
* II, III, aVFで、P波がありますが、陰性Pです。
→coronary sinus rhythmです。まだ、洞調律ではない。
* 下壁のST上昇は、穏やかになりつつあります。
* 胸部誘導のST-Tは、短時間でいろいろ変化しています。
→短時間で動き回るのか、虚血心の心電図変化の特徴です。
右室梗塞が発生するには、右冠動脈が起始部で閉塞しているはずです。今回は、カリウム値も高めでしたが、洞結節動脈(sinus node artery)への血流が途絶えていたのも、徐脈の原因と思われます。