heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-262:answer

 60才代男性で、極度のうっ血性心不全でのER搬入でした。

.   お酒大好きさんが、時々DCM様の心機能となって搬入されます。       アルコール性心筋症(Alcoholic cardiomyopathy)です。大酒家がDCM様の左室心筋障害を起こして、他に原因が見つからない場合に、こう呼ばれることがあります。断酒で、心機能が改善することがあります。まだ初期の内は。
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   1年後の心電図です。

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  洞調律です。

  高電位です、ST-T変化を伴い、普通は左室肥大と診断しますね。

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  冠動脈造影では、問題を認めていません。

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急性期と慢性期の心電図/胸部レントゲンを比較してみましょう。

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  胸部レントゲンでは、明らかな肺野のうっ血と大量の胸水を、(at ER)で認めます。心陰影もぼやけています。1年後の慢性期には、心拡大も無くなり、心陰影もシャープです。胸水ありませんね。

  心電図はなんと云っても、電気がLow voltage→High voltageと変化しております。よく見ると、(at ER)の時点で  V5,6のST-T変化はあり、もともと左室肥大的所見は、持っていたようです。

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  心機能的にも、急性期 v.s. 慢性期では、左室の拡大/壁運動低下が、著明に改善していることが、心エコーで確認できました。


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  この患者さんも、ERで診れば、全身浮腫を呈し、呼吸苦が有りの、レントゲンを撮れば、たっぷりと胸水が有り、低電位(Low voltage)は十分説明ができます。

  しかし、これだけ改善するとは、私はびっくりしました。

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  最初に述べたように、この変化がアルコール心筋症のみで説明出来るのか、否かは定かではありません。確定の方法はないんです。

  ただ、この方はその後はアルコールを飲まれず、心不全発作も再発しておりません。

  ERで、低電位を見たら、そして患者が心不全症候を示していたら、このような物語を持っている可能性を、知っておいて下さい。

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