ECG-263:answer(2/2)
疼痛の原因は、まだ確定していないので、胸部CTを撮影しました。ビックリしてしまいました。
ご覧の様に、
【 左肺の下葉部分かつ胸骨裏面に接した気胸or巨大Bulla 】
でした。
よって、胸部レントゲン正面で、気胸のラインが見えなかったんですね。
◎これが、気胸だとすると、
→左の上葉は、癒着で胸壁とくっついたまま。
→左の下葉は、下部と背部が、やはり胸壁と癒着している。
◎これが、巨大ブラだとすると、
→左の下葉の一部が、ブラ化している。
→一時的に、チェックバルブ式の気管との連結となり、ブラが拡大した。
との解釈となりそうです。
幸い、ショック状態とならず、安静での自覚症状も自制内でした。
脱気のためのチューブは入れず=そうとう恐いですし=経過観察としました。
18日後のCTと比べてみましょう。
巨大な気胸(or Bulla)の縮小傾向が、わかります。
経時的心電図変化です。
胸部誘導の電位は、増加しているのが分かりますね。
呼吸音は聞こえるけれど、心音が遠かったのも、説明出来ます。
心エコーのビーム投入が、困難であったことも、理解出来ます。
確かに、この症例は胸部CTまで撮影すれば、この病態はすぐに理解出来ます。
振り返って、ERの心電図を見ると、胸部誘導の低電位が、「この症例は、大きな問題を抱えていますよ!」と、教えていたのが、分かるんです。
太っていなくても、全身浮腫でブクブクでなくても、Heavy smokerでなくても、見た目で大きな問題が無くても、低電位がアラートとなる症例がある。
今回の学びでした。
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