コラム-097:正常心筋細胞の細胞膜電位の美しい図です。
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前回は、高カリウム血症時のテント状T波発生機序を、電気生理学的に説明する、を行いました。
私は、とても勉強になりました。
でも、親切な説明とは、見返しても云えませんでした。
正常な心筋細胞の(細胞膜電位の変動)を、丁寧かつスマートに説明します。
メディカルシステム研修所所長:岡田保紀 氏の著書
心電図のこころ p-22の図を、著者の許可を得て、掲載します。
http://www.kenn.co.jp/tuhan.htm
(2400円。189ページ。まるごと心電図解説。上記websiteより購入可)
心電計自体・心筋の電気生理学を、学びたい方にお勧めします。波形パターンを覚えるのではなく、生理学としてアプローチしたい方は必須です。
心筋細胞の電気的興奮が、一目瞭然の素晴らしい図です。
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(1)分極状態
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-90mVの分極で、静かな状態です。心筋は動いておりません。
(4相です)
Ik1が、この分極状態を維持しています。
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(2)脱分極 の開始
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Na+イオンが急速に内向き(細胞内)へ流入です。
バケツの底を抜いたような、と私は表現しております。
細胞膜電位は、-90mVから一挙にプラスへ上昇します。
(0相です)
Naチャネルが関与します。パッと開いて、すぐに閉じられます。
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図の真ん中に、Kが一瞬多く出て、とあります。IkTOです。
(1相です)
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(3)脱分極継続
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Ca2+イオンが緩徐に内向き(細胞内)へ流入です。
じょうろで流すように、と表現してます。
このCa流入が刺激となって、筋小胞体よりCa2+が沢山リリースされます。
→そしてミオシンとアクシンが重合し、物理的心筋収縮が発生します。
(2相です)
Caチャネルが関与します。ゆっくりとした流入が収縮継続を維持します。
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(4)再分極
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K+イオンが、外向き(細胞外)へ流出です。
複数のK+チャネルが共同して作動します。
(3相です)
Ikur,Ikr,Iks、そしてIk1チャネルが関与します。
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再び、静かな時が流れます。
静止膜電位は-90mVに安定化されます。
=再分極の維持で、Ik1チャネルがコントロールしています。
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図の中央を見ると分かるように、カリウムチャネルは、持続的に細胞外へだらだらと流出しています。これは、静止膜電位を-90mVに保ち、安定状況を得るためです。
一方向流出で、なんでカリウムイオンが細胞内から枯渇しないのかは、Na/Kポンプ等で、逆に細胞内への取込がされているためです。そのバランスは、難しくてよく分かりません(・_・?)。
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さて、これを学んでも、体表面心電図たる12誘導心電図波形とどうリンクしているの?が、知りたいですよね。
上記の図は、心筋細胞内での電位変化の概念図です。体表面心電図は、その心筋細胞興奮の総和で、イコールではないのですが、ざっくり以下の関係となります。
心電図のこころ p-24 より。
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◎ 細胞内電位の高まりの集合体が、QRS
◎ 再分極過程が、T波
と、理解出来ますね。
引用したい図譜が、まだまだ沢山ありますが、はっと気付いたら全ページ引用となってしまいます。
後は、ご自身で確認されて下さい。素敵な本です。
図譜引用を、ご許可頂き、岡田保紀氏に、感謝です。.
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