【コラム-003】正常心電図とは?
20女性の【正常心電図】です。
心電図をいろいろ集めると、けっとう典型例は時間が経てば、集まってきます。当院年間約6千台くらい救急車が来ますので、症例のバラエティーに事欠きません。
しかし、正常な心電図を探すのは、なかなか大変なんです。
疾患の定義や、たぶんこんな風と云う判断基準はあります。なんかあやしい、などど云う第六感を働かせる心電図もあります。
でも、正常を定義するのは、困難です。おんなじ(美人)でも、いろんなお顔があるように。
上記の心電図は、当時20才の健康な生理機能技師さんです。誰だかは、聞きませんでした。
*電気軸もさほどおかしくなく。
*R波の高さも、ほどほど。
*P波の形も、まずまずで、
*T波もまずまず元気。
*ST部分も、異常な行動を示していない。
*全体をみて、20才女性なら、(ハイ!正常)とスタンプを押せる。
てなことを、瞬時に判断し、健診ならば、数秒で判読終わりにすると、思います。
でも、ケチをつけるところは、なくはありません。
◎電気軸は、ほとんど垂直位心 (aVR=aVL)
◎胸部誘導の移行帯は、V2 (垂直位心による回転か)
◎スラーがV2,3にある。
◎V1,2のT波が陰転化している (女性では、よくあることです)
◎P波が、II, III, aVFで、二峰性。 (so what?)
スケート競技の減点法みたいに採点していくと、正常心電図の鏡を見つけるのは、
大変なんです。
例えば、V6あたりでは、
などと判断しています。無意識にですが。
私のお師匠さんが、心電図の講演会で、
【どうでもいいことを、どうでもいいと思えることが、ブレイクスルー】
と云われていました。
私は、上記の心電図をみて、まあきれい!とだけ思います。