ECG-072:answer
ECG-072:69才男性。心不全を外来管理中で、安定状況が続いています。
心不全時と、その安定期(改善時)の胸部レントゲンの比較です。
胸水が両側に、沢山溜まっていますね。
でも、安定期のレントゲンも、普通じゃないですよね。
下肺野の線維化は強いし、横隔膜が下降(=肺が膨らんでいる)しています。
今は、禁煙されていますが、以前はHeavy-smokerでした。
COPDです。また、大きなタンクの中を、化学薬品で洗浄する特殊な技術者でもありました。
このために、心臓は滴状心化しています。心拡大が進行しても、見かけ上CTR拡大がはっきりしなくなっているようです。
心エコーでは、左室の拡大とdiffuseな左室壁運動低下を、示しています。
冠動脈造影は、intactでした。
さて、心電図です。
◎ PVCありますが、よくある右室流出路起源の安全なものです。
◎ ST-T変化は、非特異的で、決め手にはなりません。
◎ V1-4のr波増高が鈍い(PRWP)ですが、横隔膜低下によるpsuedo-MI
patternだと思われます。
◎ つまり、DCMと診断する決定打はありません。
◎ と云うか、DCMと診断する特殊なECG所見は、もともとありません。
この症例では、心不全歴もあり、心エコーは必須です。
COPDでは、虚血性心疾患の合併率は高値です。
聴診・病歴・心電図・胸部レントゲン。
これだけあれば、心疾患に深く迫れるんですね。
あとは、冠動脈造影と云うオプションを選ぶかどうかです。
いろいろと、私たちを幻惑する検査所見があるんですよ。