heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-072:answer

ECG-072:69才男性。心不全を外来管理中で、安定状況が続いています。

心不全時と、その安定期(改善時)の胸部レントゲンの比較です。

 胸水が両側に、沢山溜まっていますね。

 でも、安定期のレントゲンも、普通じゃないですよね。

 下肺野の線維化は強いし、横隔膜が下降(=肺が膨らんでいる)しています。

 今は、禁煙されていますが、以前はHeavy-smokerでした。

 COPDです。また、大きなタンクの中を、化学薬品で洗浄する特殊な技術者でもありました。

 このために、心臓は滴状心化しています。心拡大が進行しても、見かけ上CTR拡大がはっきりしなくなっているようです。

E072

 

 心エコーでは、左室の拡大とdiffuseな左室壁運動低下を、示しています。

 冠動脈造影は、intactでした。

 さて、心電図です。

◎ PVCありますが、よくある右室流出路起源の安全なものです。

◎ ST-T変化は、非特異的で、決め手にはなりません。

◎ V1-4のr波増高が鈍い(PRWP)ですが、横隔膜低下によるpsuedo-MI

patternだと思われます。

◎ つまり、DCMと診断する決定打はありません。

◎ と云うか、DCMと診断する特殊なECG所見は、もともとありません。

 この症例では、心不全歴もあり、心エコーは必須です。

 COPDでは、虚血性心疾患の合併率は高値です。

 

 聴診・病歴・心電図・胸部レントゲン。

 これだけあれば、心疾患に深く迫れるんですね。

 あとは、冠動脈造影と云うオプションを選ぶかどうかです。

 いろいろと、私たちを幻惑する検査所見があるんですよ。