ECG-083:answer
まず、答えを。
Atrial Flutter(AFL)です。
やっぱり、そうですか、と思える方はココでお終い。
う〜ん。どうして、決めつけられるの??
と、云う方は、以下をご参照下さい。
.
Narrow QRS tachycardiaを見た場合には、
.
◎ 洞性頻脈
◎ Rapid-Afib.
◎ PSVT (or atrial tachycardia)
◎ AFL(2:1伝導)
.
が、鑑別に上がります。
洞性頻脈は、もちろんP波を確認することが、ポイントです。
心房細動は、頻脈時はRR不整が、よくわからないことがあります。じっと、モニターを見続けるか、1〜2m心電図を流し撮りすると、やはりRR間隔が絶対性不整でであることが、わかります。あわてて結論を出さないのがコツ。
PSVTとAFLの鑑別は、けっこう迷います。
2:1伝導の場合には、〔のこぎり波〕がわからないと、AFLだと自信を持って云えません。なお、common-type AFLでないと、II, III, aVFでのきれいな〔のこぎり波〕は、出てこない or 出にくいんですね。
.
では、この症例はどうでしょう?
私には、〔のこぎり波〕に見えるんですが、皆さんいかがでしょうか?
実は、少し私も迷っていました。
悩んでも仕方が無いので、ATPの急速静注を行いました。
.
◎ 頻拍の停止 ⇒ PSVTだった。診断的治療。
◎ 一過性のAV伝導低下 ⇒ AV伝導抑制で、〔のこぎり波〕が見やすくなる。
.
以下心電図(肢誘導)を得たので、AFLの診断となりました。ATPの影響が消える1分後には、2:1伝導に戻っています。
.
.
治療は、DC 100J (十分な鎮静下)で行いました。AFLは、抗不整脈剤は、なかなか効きません!!
なお、心エコー上は問題を認めておりません。
.
除粗動後の心電図です。
.
発作中と、ATPでのAV伝導抑制中の、心電図の比較です。
2:1伝導でも、〔のこぎり波〕が、見えてくるようになったら、あなたはステップアップ完了です!
(QRSに、のこぎり波が隠れている、と理解して下さいね。)