【コラム-012】僧帽弁逆流(MR)は、心電図で推定可能か?
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僧帽弁逆流(MR)は、心電図で推定可能か?
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リウマチ性心疾患が、溶連菌感染の激減で=公衆衛生の向上による=ほとんど見ません。平成10年度以後に医師になった方は、少なくとも denova の症例は、遭遇していないはずです、日本では。
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今見る僧帽弁逆流は、prolapse症例か、心不全による二次性MRですね。
なお、健康人の大半に、clinicalに問題の無い程度のMRはあります。心エコーのカラードプラの解析度が高いからですね。
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では、心電図でMRを推定できるでしょうか?
あんまり、お役に立てません。
聴診の方が、はるかに有用です。
MRの手術となる症例でも、心電図所見は、ぼんやりしていることが、多々あります。
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僧帽弁逆流があると、当然左房に負担がかかります。
しかし、左室にとっては、大動脈より負荷の少ない方向への血流(逆流)なので、左室肥大は起きません。楽な仕事なのです。1回の逆流に限れば。
よって、左室のvoltageは高くなりません。ここが、大動脈弁狭窄/逆流との大きな違いです。心電図上の高電位は、MRでは、なかなか発生しません。
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では、左房負荷(P波の変化)は、どうでしょうか?
残念ながら、あんまり著名な変化は、心電図所見として出ません。と云うか、出にくい。P波の感度は、MRでは、けっこう低いんです。
僧帽弁狭窄症(=リウマチ性心疾患)では、左房内圧が高まり、mitral-Pが出現します。逆流のみでは、心電図変化は、鋭敏ではありません。
ある一定以上の負荷がかかると、心房細動化しますが、これも診断の決定打では、ありません。むしろ、心房細動化の結果としての、MR出現もあります。
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