E094:answer
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E094:70才男性で、外来での定期心電図です。
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洞調律で、CLBBBの所見です。
QRSは幅広く、V1でrSパターン、V6で単相性の幅広いR波です。
これだけで普通は、パターン認識でCLBBB→お終いとしていますが、研修医はもちろん納得しません。「なんで、そうなるの??」
いくつかの電気生理学の知識の、お復習いが必要です。
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◎ CLBBBでは、正常の左室内刺激伝導系が遮断されている。
◎ どう遮断されているかは、本当はわからないが、QRS幅0.12sec.以上をこ
う定義している。(CLBBBの定義は、あくまで人為的である)
◎ CRBBBと違い、左室自体の伝導障害なので、左室の心筋評価は難しい。
◎ ヒス束→プルキンエ繊維とならないので、通常の内膜側から外膜側への電
気的興奮の伝播がない。(波紋のようにだらだらと横に伝わるだけ)
◎ よって、QRSの主軸とT波の方向性は、逆になる。
→同じことは、PVCでも、RV-pacingでも認められる。
◎ 左軸変異を伴うかどうかは、左脚の障害の程度(ひどさ)によるらしい。
◎ CLBBBになると云うことは、それだけ左室心筋のダメージが強い!
と思った方が、現実的である。
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この症例は、DCM として投薬管理中であるが、今は安定しています。年4回の受診で済んでいます。
さて、この症例では、左軸変異もあります。
V2のST上昇は、5mmを超えて、ACSの合併する気になります。もし、胸痛発作を伴っていれば、それもありです。心エコーでは、CLBBBがあるだけで、中隔の動きはparadoxicalになるので、要注意です。
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さて、この説明で研修医は、納得してくれるでしょうか?
あんまり、してくれないと思います。難しいこと云って、煙に巻かれた気分じゃないでしょうか。さほど、難解ではないのですが、心筋電気生理の基本から、紐解かないと、すんなり心に落ちない内容です。
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* CLBBBを見たら、基礎心疾患があると思え!
* antero-setal MIと慌てて診断するな!
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くらいを、今回のパールとして下さい。
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