heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

E094:answer


医学 ブログランキングへ

(↑ ポチッとよろしくお願いします)

.

E094:70才男性で、外来での定期心電図です。

.
 洞調律で、CLBBBの所見です。
 QRSは幅広く、V1でrSパターン、V6で単相性の幅広いR波です。
 これだけで普通は、パターン認識でCLBBB→お終いとしていますが、研修医はもちろん納得しません。「なんで、そうなるの??」
 いくつかの電気生理学の知識の、お復習いが必要です。
.
◎ CLBBBでは、正常の左室内刺激伝導系が遮断されている。
◎ どう遮断されているかは、本当はわからないが、QRS幅0.12sec.以上をこ
    う定義している。(CLBBBの定義は、あくまで人為的である)
◎ CRBBBと違い、左室自体の伝導障害なので、左室の心筋評価は難しい。
◎ ヒス束→プルキンエ繊維とならないので、通常の内膜側から外膜側への電
    気的興奮の伝播がない。(波紋のようにだらだらと横に伝わるだけ)
◎ よって、QRSの主軸とT波の方向性は、逆になる。
  →同じことは、PVCでも、RV-pacingでも認められる。
◎ 左軸変異を伴うかどうかは、左脚の障害の程度(ひどさ)によるらしい。
◎ CLBBBになると云うことは、それだけ左室心筋のダメージが強い!
  と思った方が、現実的である。
.
 この症例は、DCM として投薬管理中であるが、今は安定しています。年4回の受診で済んでいます。
 さて、この症例では、左軸変異もあります。
 V2のST上昇は、5mmを超えて、ACSの合併する気になります。もし、胸痛発作を伴っていれば、それもありです。心エコーでは、CLBBBがあるだけで、中隔の動きはparadoxicalになるので、要注意です。
.
 さて、この説明で研修医は、納得してくれるでしょうか?
 あんまり、してくれないと思います。難しいこと云って、煙に巻かれた気分じゃないでしょうか。さほど、難解ではないのですが、心筋電気生理の基本から、紐解かないと、すんなり心に落ちない内容です。
.
* CLBBBを見たら、基礎心疾患があると思え!
* antero-setal MIと慌てて診断するな!
.
 くらいを、今回のパールとして下さい。
.
.

E094clbbbqrst_2

.


医学 ブログランキングへ

(↑ ポチッとよろしくお願いします)
.
.
.
.