heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-121:answer(2/2)

ECG-121:心電図の解説に入ります。
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● 一見して、おかしな心電図だと、気付いて下さい。
● 洞調律です。
● 肢誘導は、低電位です。(これは、よくあることです)
● V2,3のP波が、妙に尖っている。(Pulmonary-Pかも?)
● 胸部誘導の r 波がV5.6となっても、低いままです。
● 表現を変えると、R/S比が1以下のままです。
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 肺塞栓である、と云うことを元に考えてみましょう。
 右心系がでかくなっていることは、心エコーと造影CTで確認されています。肺動脈が血栓性閉塞を起こしているので、血管抵抗が上昇し、肺動脈圧=右室圧が上昇しました。右室は、圧負荷に対しても、容量負荷に対しても、すぐに拡大で反応します。求心性肥大は、左室と違ってとれないんです。
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 胸部誘導の電極位置と右心系が拡大した場合の、心室の起電力ベクトル方向を見てみましょう。CTと対比すると、背中側に、最大ベクトル値が逃げてしまっていることが、わかります。

E121_2

 r 波の増高が悪い場合には、左室の虚血の反映である場合もあります。また、このように右心系の拡大、あるいは単に物理的心臓の回転もあります。あまりに左室肥大が強いと、ベクトルが後方回転し、V1-3位の r 波が低いままのこともありますが、さすがにV5.6では、high-voltageとなります。
 この心電図から、右心系がでかい!!と想起できるようになると、あなたはもう心電図の達人(カモ)。
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