heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-128:answer

ECG-128:60才男性で、収縮期雑音とS3を認める症例でした。

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 心電図を見てみると。
◎ 洞調律です。
◎ Lead-1-sign とaVR=aVLで、立位心パターンですね。
◎ 胸部誘導のR波が、少し高いかなあ。
◎ 左房負荷は、どうみても、ない!
◎ 肢誘導の5心拍目は、SVPC。coronary sinus付近の発火でしょう。
◎ T波が、ちょっと元気がいいか?60才の早期再分極?
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 元気な心電図ですね。滴状心ですか? となりそうです。
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 心雑音からは、明瞭に僧帽弁逆流を感じさせます。
 実際に、聴診に慣れた方が聞けば、一発で、MR(due to MVP)と診断します。
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 心エコーを提示します。

E128echo

クリックすると、拡大します。

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 問題は、重症度ですね。

 このまま経過観察/投薬でいいのか?

 手術適応時期は、いつなのか?

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 この方は、RAS阻害薬とaldosterone - blockerが投与されています。

 心不全の臨床症状は無く、BNP<18です。

 経過観察中です。でも、エコー上のMRは立派です。

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 もともと、MVP-MR症例で、心電図に大きな変化は生じにくいです。

 左房と云う低圧系に逆流させるだけですので、左室はstrokeの瞬間は、はっきり云って楽なんです、大動脈方向に前方駆出するよりも。

 もちろん、次の拡張期に、すぐに沢山の血液が左室に帰って来て、借りを払わせられるのですけどね。

 楽であるはずの左房に逆流させることも大変になる=LVEFの低下は、MR心としては、末期的な状況となります。

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 心房細動の発生は、MRによる起きえますが、他の理由でも発生するので、要注意です。また、Afib.の結果としても、MRは発生します。面倒ですね。

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 (結論):MR特有の心電図所見はない。Afibなどの二次変化が、もしMRのために起きるならば、それは血行動態が、破綻して来たサインかもしれない。

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