ECG-132:answer
ACSですね。間違いようが、ありません。
派手な心電図変化で、初期研修医はビビるか、興奮するか、どちらかでしょう。
冷静に、判読してみましょう。
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◎ 洞調律です。
◎ 多くの誘導で、ST上昇を呈しています。
→V1-6,aVL, I 誘導での上昇。
→II,III,aVFでのST低下(鏡面変化)。ACSの証しです。
◎ ST上昇が、ヨットの帆のような三角形である。(不気味な感じの理由)
→慣れないと、VTと間違うかもしれません。P波ありますよね。
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このようなST上昇は、超急性期である可能性が高いです。
つまり、冠血流を早急に再疎通させると、心機能の著名な改善が、望めます。(Time is muscle !!)
そう考えると、この心電図は、ビビるより、助けがいのある症例なんだと、思えるようになりますね。
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高齢ですが、ADL・意識状態もしっかりしており、緊急PCIとなりました。
青矢印:責任病変。Seg-6(前下行枝)です。造影遅延があります。
赤矢印:Seg-2=75%狭窄。今回の責任病変ではないですね。
側副血行路は、ないようです。
緑矢印:STENTです。(見えますか?)
**PCI直後の心電図です。
クリックすると、ECGが拡大します。
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この症例の心電図の経時的変化を示します。
最終的に、Giant Negative T波が、胸部誘導に出現しています。
クリックすると、ECGが拡大します。
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上記の心電図変化を、一本の冠動脈で説明できるのは、心尖部を巻いた大きな前下行枝(LAD)の閉塞が生じている、と考えることです。
救済する価値が高く、かつ時間経過が長いと、心破裂や重度心不全を呈する可能性が十分にあります。
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ACSの心電図パターンは、多彩です。あれもある、これもある。
いろいろと経験して下さい。
しだいに、虚血を感じ取れるようになります。
感覚的な表現が多いのですが、心電図判読は実に感覚的なんです、ホント。
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