heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-132:answer

 ACSですね。間違いようが、ありません。

 派手な心電図変化で、初期研修医はビビるか、興奮するか、どちらかでしょう。

 冷静に、判読してみましょう。

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 洞調律です。

 多くの誘導で、ST上昇を呈しています。

   →V1-6,aVL, I 誘導での上昇。

   →II,III,aVFでのST低下(鏡面変化)ACSの証しです。

ST上昇が、ヨットの帆のような三角形である。(不気味な感じの理由)

   →慣れないと、VTと間違うかもしれません。P波ありますよね。

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 このようなST上昇は、超急性期である可能性が高いです。 

 つまり、冠血流を早急に再疎通させると、心機能の著名な改善が、望めます。(Time is muscle !!)

 そう考えると、この心電図は、ビビるより、助けがいのある症例なんだと、思えるようになりますね。

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 高齢ですが、ADL・意識状態もしっかりしており、緊急PCIとなりました。

** PCI前のCAGと、PCI後のCAGです。

E132cag

青矢印:責任病変。Seg-6(前下行枝)です。造影遅延があります。

赤矢印:Seg-2=75%狭窄。今回の責任病変ではないですね。

    側副血行路は、ないようです。

緑矢印:STENTです。(見えますか?)

**PCI後の心電図です。

E13207261384_acspostpci

クリックすると、ECGが拡大します。

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この症例の心電図の経時的変化を示します。

最終的に、Giant Negative T波が、胸部誘導に出現しています。

E13207261384timeflow

クリックすると、ECGが拡大します。

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 上記の心電図変化を、一本の冠動脈で説明できるのは、心尖部を巻いた大きな前下行枝(LAD)の閉塞が生じている、と考えることです。

 救済する価値が高く、かつ時間経過が長いと、心破裂や重度心不全を呈する可能性が十分にあります。

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 ACSの心電図パターンは、多彩です。あれもある、これもある。

 いろいろと経験して下さい。

 しだいに、虚血を感じ取れるようになります。

 感覚的な表現が多いのですが、心電図判読は実に感覚的なんです、ホント。

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