heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-148:answer

ECG-148:86才女性。胸部不快発作後に、ERを受診した症例です。

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 どう診ても、ACSを考えるしかない、症例です。
 いろいろ悩むのは、後回しにして、循環器科に連絡しつつ、対応です。
 ゆっくりと考えることは、許されないことを、念頭において、でも丁寧に心電図を判読してみます。
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◯ 洞調律です。
◯ V1-4,aVL, I 誘導で、ST上昇を、認めます。
◯ 超急性期の所見かは、微妙です。
◯ ACSの発症6時間後でも、二日後でも、いいような気がします。
◯ II,III,aVFで、ややST低下あり。I 誘導・aVLのミラーイメージのようです。
◯ RRWPがあります。R波の高さが、V1>V2>V3です。(QRS振幅の影響有りますが)
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 V1,2のST上昇は、LVHが強い時のミラーイメージでも、生じます。
 ですが、V5,6をみても、明らかなLVHはありません。
 広範囲なST上昇に、6時間前の胸痛発作ですから、次に行うべきは、心エコーです。これで、壁運動障害がLAD領域に認められれば、トロポニン値の結果を待たずに、循環器科コールです。S4聴取の段階で、呼んでもいいと思います。
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 LADへの緊急PCI後の心電図です。
 全体的にST-T変化が、穏やかになっています。

E14880010337acs86flad201312040549jp

クリックすると、ECGが拡大します。

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 発症後一週間後の心電図です。

 ST上昇は、V1-4で残っています。

 やや複雑なnotchが形成されて、虚血性の心筋ダメージを示しています。

 V5, aVL, I 誘導のST上昇は、戻りました。

 aVL, I 誘導のT陰転が残っています。

E14880010337acs86flad2013120415

クリックすると、ECGが拡大します。

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 この症例は、発症後6時間で、すでにCPK=1400U/Lでした。

 前壁も広範囲に壁運動障害を、認めました。

 挿管・BiPAP等は不要でしたが、心不全も軽度出現しました。

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 このERの心電図で、ポイントは、対側誘導でのST低下です。症状がなく迷うこともあります。トロポニン・CPK値を見て、初めて循環器科コールになる場合もあるかもしれません。

 しかし、この症例は6時間前に、明らかな胸部不快発作出現がありました。外れでもいいから、緊急対応が許されるケースです。ERでは、そのように当直医は行動し、搬入後2時間ほどでPCIが終了しています。

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E148cag

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