【コラム-036】 ST上昇を、考える(その1)
ST上昇を、考える(その1)
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【 1st. step 】:ST上昇を見つけたら。。
ACS(STEMI)でないとわかるまで、ACSとして対応する。
よくわからない時は、対応できる医師(or施設)へ、バトンタッチすべし。
経時的変化を追うのは大切。短時間(数十分~数時間)で、ACS心電図は変化する。
後壁のACSでは、V1-3でST低下をミラーイメージで示す。でも、これはV7-9で記録すると、後壁のST上昇を示す。STEMIなので、軽んじない!
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【 2nd. step 】:STが上昇する別の病態を、考えてみる。
教科書的には、まず心外膜炎の除外となる。
ST上昇の形での鑑別は、当てにしてはいけない。
初期には、全誘導でのST上昇が示されないこともある。
完全左脚ブロックでは、V1-3でST上昇が、ほとんど示される。脚ブロックの二次性変化に過ぎない。また、V1-3でr波が低いので、前壁中隔梗塞と間違うことあり。もちろんQRS幅は、0.12秒以上である。(国歌試験での、引っ掛け問題となったことあり。)
心肥大が強いと、やはりV1-3で、ST上昇を示すことがある。この時は、心肥大の原因(高血圧/大動脈弁疾患/肥大型心筋症)を、鑑別してね。
忘れていけないのが、Brugada症候群でのST上昇です。
もちろん、よくわからいけど、STが上昇しているケースもあります。
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【3rd. step 】:そもそも、ST上昇の定義は、なんなのか?
単純です。基線より、ST部分が上昇(高い)ことを指しています。0.1mmでも、ST上昇と表現します。
基線とは、T波の終わりから次のP波の始まりまでの部分。電気的に静止している(はず)の直線的部分です。
この基線部分より上昇していれば、ST上昇なんですね。
これが、基線のぶれのない心電図をきちんと記録すべき理由です。
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【 4th. step 】:では、なぜSTは上昇するのか?
虚血においては、障害電流の存在。
心肥大では、対側のST低下のミラーイメージ。
ブルガダ症候群では、心内膜側と心外膜側との電気的興奮時相のずれ。
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言葉では、なんとなく説明できますが、実際の電気生理的説明となると、かなり難しいです。正直、私はうまく理解できていません。
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