heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-156:answer

 後期高齢者の女性でした。食思不振・嘔吐で、血液検査をしたところ、K=9.0mEq/lを示し、当院ERヘ紹介となっています。

 高カリウム血症による心電図変化でした。

 この記録時の血清カリウム値は、8.0mEq/lでした。

 (あなたの)知りたい情報でしたか?

Ecg156k

クリックすると、ECGが拡大します。

まず、ACSの否定から始めるのが、大切ですね。血清カリウム値が出るのに、15〜30分かかりますから。

 この症例は、心エコーでは左室はむしろ過剰収縮(good LV function)でした。V1,2のST上昇からLADのACS急性期を想像できるも、それは否定的。右室梗塞と無理読みできないことありませんが、右室の拡大・壁運動低下もない。P波が無い!130bpm位の頻脈です。

 やけに尖ったT波が、高カリウム血症の可能性を囁きます。

 

【高カリウム血症は、心電図を治す】

 そうです、ECG-009で出てきた教訓です。臨床は、同じ問題が形を変えつつ、何度も出てきます。その度に正解を要求されます。徐脈で来たり、頻脈で来たり、高カリウム血症は油断できませんね。

 

 カルチコールの緩徐静注で、拮抗させます。その後の心電図です。

Ecg15603206833hyperkalemia201407111

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 だいぶ心電図が、おとなしくなりましたね。まだ、血清カリウム値は、6.0mEq/lと高めです。

 十二分な補液と利尿をつけました。透析までは、施行していません。カリウム吸着剤を、服用させています。

  この症例は心不全治療のために、ARBとaldosterone-blockerが併用投与されていました。後期高齢者以上においては=潜在的腎機能低下あり=これらの併用投与は、高カリウム血症の誘因となる可能性があります。

 特に、sick dayでは。食思不振が起きたり、インフルエンザになったりして尿量が減ると、一気にカリウム値は上昇します。

 

 確かにaldosterone-blockerは、心不全の生命予後を改善します。でも、そのevidenceに飛びついて処方すると、カウンターパンチ(高カリウム血症)が、このように飛んで来るんですね。

血清カリウム値が 4.3mEq/lになった時の心電図です。P波が、しっかりと出てきましたね。

Ecg15603206833hyperkalemia201407131

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