heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-158:answer

CG-158:100才男性。WQRSTです。

   WQRSTで、CRBBB様のパターンですね。V5,6のS波も大きく、VTを想起させます。でも、なんか『あぶない感』が少ない。よくよくV1,2を見ると、基線がなんか変です。

 

Ecg158wqrst100manf

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 P波にしては、形がちょっと変わっているし、QRS直後に似たような波形が、特にV2で明らかです。


 P波にしては、形がちょっと変わっているし、QRS直後に似たような波形が、特にV2で明らかです。

 ATPを静注してみました。

=10mgを one shot で静注し、後押しの生食フラッシュです=

 

 

以下の波形を得ることができました。

Ecg158wqrst100man20140731

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 さっきのP波様の波形が残り、AV伝導が一時的・強力に抑止されています。AV伝導を介したリエントリー型のPSVTは、否定ですね。

 

 また、QRS波形は変わりません。CRBBB様のQRSで、VTでもありませんでした。但し、V5,6のS波は大きく、心室内変行伝導がさらに加わっているかもしれません。


Ecg158wqrst100manf_2

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 II,III,aVFを、目を凝らしてみても、いわゆるのこぎり波はありません。典型的な心房粗動では、ありませんね。

 答えは、

(1) 心房粗動{非典型例}

(2) AT{心房頻拍}

 となります。どちらでも、OKです。

 ECG-083(63才男性)も、同様の症例でした。その時はAFLと診断し、ATでもいいかも、とお断りを入れました。分類の違い(米国と欧州の)ですから、拘っても仕方有りません。今は、両論併記とのスタンスです。

 左房内での異所性自動能亢進・マイクロリエントリーの可能性も高く、カテーテルアブレーションで治療できるかは、微妙です。12誘導心電図で悩んでも仕方ないので、EPSを含め不整脈専門医に、丸投げして下さい。

 100才のこの症例は、翌日アミサリンの点滴投与(ダメモトでの頻拍停止狙い)と、ジルチアゼム(100mg/day)でのAV伝導抑止=rate controlを図りました。

 

 ATは治りませんでしたが、房室電導は抑止されて、心拍数は80前後となっています。但し、このような超高齢者では、今後は抑制が効きすぎて、極度の徐脈となることもあり、経過観察は十分気をつけて下さい。


**よく似た症例は、ECG-083**





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