ECG-199:ANSWER
60才代男性です。失神での、搬入です。
失神症例は、循環器疾患が基礎になければ、予後は概ね良好です。でも、この症例はACS=循環器疾患そのものですね。
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失神でERに来て、強度の喫煙歴がある中年男性のII,III,aVF上昇を心電図で確認したら、ACSとして扱うしかありません。初期研修医は、すぐに上級医を呼び出す! ゆっくり心電図を鑑賞する暇なし。(RCA seg#2の完全閉塞のACSで、PCI施行しました)
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Question-1(answer):でも、判読して見ましょう。
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* II, III, aVF で、明なかST上昇です。
* aVL, I 誘導で、ミラーイメージとしてのST低下があります。
* II 誘導によるリズムチェック(一番下の波形)を見ても、房室ブロックは
ないようです。
* 右胸部誘導による右室梗塞評価は・・・すいません、記録ありません。
* ST上昇が、II,<IIIなので、たぶんRCAの急性心筋梗塞です。
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急性心筋梗塞として、取り扱いましょう。
失神の原因は、VTなのか、一過性の完全房室ブロック=徐脈なのか、迷走神経の過緊張による低血圧なのか、それらの組み合わせなのか?
搬入後は、失神も無く、確認はできませんでした。
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Question-2(answer):ER研修医の対応です。
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患者さんの安静・バイタルチェックとモニター監視。
取り急ぎの問診。
併せて、循環器科コール。
→なければ、PCIできる施設への転院調整。
→本人・家族への(素早い)説明。
→当然ながら、上級医/指導医を巻き込む。
→初期研修医は、一人で責任を取る立場に立たない!
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除外診断として、
◎ 肺塞栓
◎ タコツボ心筋症
◎ 冠動脈入口閉塞を伴う大動脈解離(要注意です!)
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大半は、心エコーの併用でわかります。
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血清トロポニン値測定は、確定診断に必須ですね。
→でも、発症直後だと、いまいちな上昇に留まります。
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この心電図を見た途端に、ACS:infers-posterior area と思えるようになって下さい。考えながら、読まないとわからない内は、まだ実力になっておりません!
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で、次のコラムで、下後壁の虚血の心電図読影を、復習してみます。
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