コラム-071:心電図で下壁の虚血の読み方です。(UpToDate)
** 謹賀新年 **
ECG-199を例に、下壁の虚血の心電図判読を、お復習いしてみましょう。(RCA seg#2の完全閉塞のACSで、PCI施行しました)
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クリックすると、ECGが拡大します。
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日本循環器学会のGLを見てみましょう。STEMIの定義として心電図では、
* 本ガイドラインでは典型的な持続性ST上昇(2つ以上の隣接した誘導での0.1mV以上のST上昇)を呈するもの以外に,胸部症状を有する左脚ブロック,純後壁梗塞もSTEMIとして扱う.
(p-1358 Circultion journal vol.72.Suppl. IC. 2008)
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ECG-199の肢誘導を、Cabrella配列にしてみます。
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下壁のSTEMIでも、連続した2誘導でST上昇となるのが、理解できますね。
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RCAの梗塞か・LCXの梗塞か?
* 伝導障害(房室ブロック)を伴う場合は、ほとんどがRCA領域。AV-node artery支配の80%以上は、RCAです。
* 右室梗塞合併は、RCA閉塞による。右室枝は、もちろんRCAより分岐します。
→決め手はV4RでのST上昇。但し、短時間しか陽性にならない!ので、要注意。(今回、記録していない、トホホ)
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* II,III 誘導でのST上昇の度合いの違い。
→RCA支配領域は、III 誘導が受け持つ。
→LCX支配領域は、II 誘導が受け持つ。
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. . . 下壁の虚血では、側壁・高位側壁が、ミラーイメージとなります。
これは、急性期にのみ起きる現象です。
II,III,aVFのST上昇の度合いが、イマイチでも、aVLのST低下がセットの場合には、急性虚血を強く示唆します。
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心筋虚血の証しの3条件は、
☆ ST上昇
☆冠性T波
☆Q波の存在
ですね。
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III,aVFにしっかりしたQ波があり、しかしII誘導に無い場合は、
心筋虚血か否かは、よ~く考えてみて下さいね。
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なお、このお二人は、大病の経験の無い元気な医師達です。
電気軸が、-4~8°程度なんですね。
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