ECG-205:answer(1/2)
100才代女性が、 徐脈と気分不良でのER搬入です。
【徐脈発作を見たら、次の三つをまず否定します】
* ACSを、否定する → (トロポニン値は、経時的上昇無し)
* 高カリウム血症を、否定する → (K=4.7mEq/L)
* 薬物性の徐脈を、否定する。(内服薬に、徐脈を助長する薬物無し)
ERで記録した心電図の胸部誘導を提示します。
クリックすると、ECGが拡大します。
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↓ P波の間隔は、整です。
↑ QRSの間隔も、整です。(最後の1拍↑は心室性の早期収縮ですね)
P-QRS間隔は、全く同期せず。
完全房室ブロックで、良いですね。
P-rateも、75bpm程度で、あんまり早くありません。
ERでの最初の対応は、アトロピンの静注。
やっぱり、効果ありませんでした。
アトロピンは、副交感神経を抑制することで、相対的に交感神経有意にします。副交感神経が優位の状況でないと、効果はパッとしません。
次に、プロタノール(イソプロテレノール)の静注が行われました。
これは、けっこう効果しました。
クリックすると、ECGが拡大します。
↓ P波の間隔は整で、 150bpmくらいになりました。
↑ QRSの間隔も、整です。(2:1 AV-blockとなり、心拍数は75bpmです)
その後も、脈拍数は不整なままでした。時に、徐脈です。
一般病棟に入室してからは、プロタノールの持続精密静注が、施行されています。
入室後24時間内の病棟モニターの一例です。
わりと珍しい3:1伝導のII度AV-blockあり。
心房での自動能亢進による、AV伝導遮断によりpouse。
Blocked PACなど。
本来は、VVI or AV sequentialでの一時ペーシング施行が、基本です。
または、そこに継ぐまでの体外ペーシングですね。
この症例は、そのようなことをしない前提ですので、交感神経への刺激剤での対応となりました。幸い、VTは出現しておりません。
さて、入院翌日になって、新たな情報が入りました。
確かに、(交感神経を遮断する内服薬)は、ありませんでした。
しかし、眼科よりチモプトール点眼液が処方されてたことが、わかりました。非選択性のβ-blockerで、眼圧を下げるのに使用されます。
第三の病歴である【薬歴】は、情報が交錯することがり、注意が必要です!
点眼で、徐脈が発生することは、非常にまれなようですが、何せ100才です。すぐに中止としました。
プロタノール持続静注も、徐々に減量して、offとしました。
まだ、徐脈は続いています。
以前も提示したことのある薬物での、内服治療を開始します。
Question-2:あなたなら、何を投与しますか?(心電図から、ちょっと離れました)
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