heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-205:answer(1/2)

 100才代女性が、 徐脈と気分不良でのER搬入です。

【徐脈発作を見たら、次の三つをまず否定します】

*  ACSを、否定する →  (トロポニン値は、経時的上昇無し)

*  高カリウム血症を、否定する → (K=4.7mEq/L)

*  薬物性の徐脈を、否定する。(内服薬に、徐脈を助長する薬物無し)

  ERで記録した心電図の胸部誘導を提示します。

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クリックすると、ECGが拡大します。

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↓ P波の間隔は、整です。

↑   QRSの間隔も、整です。(最後の1拍心室性の早期収縮ですね)

       P-QRS間隔は、全く同期せず。

 完全房室ブロックで、良いですね。

 P-rateも、75bpm程度で、あんまり早くありません。

 ERでの最初の対応は、アトロピンの静注。

 やっぱり、効果ありませんでした。

 アトロピンは、副交感神経を抑制することで、相対的に交感神経有意にします。副交感神経が優位の状況でないと、効果はパッとしません。

 次に、プロタノール(イソプロテレノール)の静注が行われました。

 これは、けっこう効果しました。


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クリックすると、ECGが拡大します。

↓ P波の間隔は整で、 150bpmくらいになりました。

↑   QRSの間隔も、整です。(2:1 AV-blockとなり、心拍数は75bpmです)

 その後も、脈拍数は不整なままでした。時に、徐脈です。

 一般病棟に入室してからは、プロタノールの持続精密静注が、施行されています。 

  入室後24時間内の病棟モニターの一例です。


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 わりと珍しい3:1伝導のII度AV-blockあり。

 心房での自動能亢進による、AV伝導遮断によりpouse。

 Blocked PACなど。

 本来は、VVI or AV sequentialでの一時ペーシング施行が、基本です。

  または、そこに継ぐまでの体外ペーシングですね。

  この症例は、そのようなことをしない前提ですので、交感神経への刺激剤での対応となりました。幸い、VTは出現しておりません。

 さて、入院翌日になって、新たな情報が入りました。

 確かに、(交感神経を遮断する内服薬)は、ありませんでした。

 しかし、眼科よりチモプトール点眼液が処方されてたことが、わかりました。非選択性のβ-blockerで、眼圧を下げるのに使用されます。

 第三の病歴である【薬歴】は、情報が交錯することがり、注意が必要です!

 点眼で、徐脈が発生することは、非常にまれなようですが、何せ100才です。すぐに中止としました。

  プロタノール持続静注も、徐々に減量して、offとしました。

  まだ、徐脈は続いています。

 以前も提示したことのある薬物での、内服治療を開始します。

Question-2:あなたなら、何を投与しますか?(心電図から、ちょっと離れました)

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