heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-207:answer

70才代女性。めまいと息切れでした。回答は、

【 CRBBB + LAD + I 度AV-block で、三束ブロックです】

【 眩暈の原因として、完全房室ブロック・徐脈の可能性を考えましょう 】

 となります。

 因みに、めまいの症状(+)時に記録された心電図です。

(肢誘導)

Ecg207cavbforweb

クリックすると、ECGが拡大します。

(胸部誘導)

Ecg2072cavbforweb

クリックすると、ECGが拡大します。

P波とQRSの関連性は認めず、完全房室ブロックです。

P波自体も、不整です。

RR間隔は整で、心室の異所性ペースメーカーが、頑張っております。

三束ブロック: trifascilular block

 さて、三束ブロックとは、何なんでしょうか?

◎ 三束とは、

          右脚・左脚前枝・左脚後枝 の三つです。

◎ 二束ブロックは、

          完全右脚ブロック + 左脚前枝ブロック

          完全右脚ブロック + 左脚後枝ブロック

    の二つです。

◎  左脚前枝ブロック + 左脚後枝ブロックは、ただの完全左脚ブロックです!

◎  現実的には、完全右脚ブロック + 左脚前枝ブロックが、ほとんどです。

これに、I 度AV-blockが乗っかるのは、何が起きているのでしょうか?

  これは、房室結節レベルでの伝導障害ではなく、残った脚(この問題では、左脚後枝のこと)が、伝導障害を起こしている状態です。

  よって、三枝ブロックは以下の図のようになっています。

Ecg207301forweb

Ecg207302forweb

 この症例では、

(A図)

*右脚が完全にブロックされている ⇒ CRBBB

*左脚前枝がブロックされている ⇒ LAD

*残った左脚後肢の伝導も危うい ⇒ PR時間の延長

となっています。

 頼りない左脚後枝が、最後にブロックされると、完全房室ブロックとなった訳です。

(B図)

 私は学生の頃に、二枝ブロックに、房室結節レベルで伝導障害が乗っかったものだと思っておりました。これが、訂正される(=脳内の書き換え)に、だいぶ時間が掛かってしまいました。

 最後に、問題の心電図の解説図を示しておきます。

Ecg20112forweb


A : 左軸偏位(LAD)は、左脚前枝ブロックを意味する。

B : 完全右脚ブロック(CRBBB)による変化。

C : 残った左脚後枝の伝導遅延によるPR延長。

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