heart2019改 の ECG-001 〜 ECG-315 まで移転です。

Cardio2012のECGブログ(from ココログ)よりのインポートです。

ECG-209:answer

 90才代女性の心電図でした。

 回答を先に述べると、

【 2:1 房室ブロック (Mobitz-II型) 】

 となります。典型的で、難しくはないですね。でも、順序だって考える思考法を、今回入手して下さい。(リズムに関してです)

Step-1:極度の徐脈である。

     ぱっと見て、QRSの数が少ない→徐脈だな、と感じて下さい。

     心拍数は、6秒間にQRSが4個 = 40bpm.


Ecg209forweb


Step-2:P波の存在を確認する。

 II 誘導・V1にて、P波が明らかに確認できる。

      aVFで陽性P波。aVRで陰性P波。→normal sinus rhythm.

Step-3:P波とQRSの関係性を、確認する。

      QRS間隔は整で、narrow QRS.

                PP間隔もほぼ整で、洞調律。

      P波2つ毎に、一つのQRSが出現する。

      PQ間隔は、毎回同一である。

      →2:1伝導の房室ブロック(Mobitz-II 型の房室ブロック)

Ecg209v1m2avblockforweb

 なお、短い記録では、完全房室ブロックが、たまたま2:1 AV-blockに見えていた可能性が、残ります。心配だったら、長めの誘導記録を残しましょう。


Ecg209iiforweb


  Mobitz-II 型の房室ブロックが、このように(安定して)出現している場合、自然に改善することは、少ないのです。

 これが、Mobitz-I 型(=Wenckebach AV block)だと、安静時・夜間に出現するも、運動をして交感神経を刺激すると、すぐに房室伝導が回復します。

 その後、この方は転倒による硬膜外血腫の出現を契機に、徐々に状態悪化して永眠されています。転倒が、徐脈のためか、認知症進行によるものか、断定はできませんが、どっちも足をひっぱたのでしょう。

  房室ブロックを見た時の、考え方でした。






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