ECG-209:answer
90才代女性の心電図でした。
回答を先に述べると、
【 2:1 房室ブロック (Mobitz-II型) 】
となります。典型的で、難しくはないですね。でも、順序だって考える思考法を、今回入手して下さい。(リズムに関してです)
Step-1:極度の徐脈である。
ぱっと見て、QRSの数が少ない→徐脈だな、と感じて下さい。
心拍数は、6秒間にQRSが4個 = 40bpm.
Step-2:P波の存在を確認する。
II 誘導・V1にて、P波が明らかに確認できる。
aVFで陽性P波。aVRで陰性P波。→normal sinus rhythm.
Step-3:P波とQRSの関係性を、確認する。
QRS間隔は整で、narrow QRS.
PP間隔もほぼ整で、洞調律。
P波2つ毎に、一つのQRSが出現する。
PQ間隔は、毎回同一である。
→2:1伝導の房室ブロック(Mobitz-II 型の房室ブロック)
なお、短い記録では、完全房室ブロックが、たまたま2:1 AV-blockに見えていた可能性が、残ります。心配だったら、長めの誘導記録を残しましょう。
Mobitz-II 型の房室ブロックが、このように(安定して)出現している場合、自然に改善することは、少ないのです。
これが、Mobitz-I 型(=Wenckebach AV block)だと、安静時・夜間に出現するも、運動をして交感神経を刺激すると、すぐに房室伝導が回復します。
その後、この方は転倒による硬膜外血腫の出現を契機に、徐々に状態悪化して永眠されています。転倒が、徐脈のためか、認知症進行によるものか、断定はできませんが、どっちも足をひっぱたのでしょう。
房室ブロックを見た時の、考え方でした。
.