ECG-210:80才代女性。たこつぼの夜 ( a night in Takotubo Cardiomyopathy)
80才代の女性です。症候性てんかんのけいれん発作で、ER搬入でした。症候性てんかんとして、diazepam投与で加療は上手くいきました。陳旧性脳梗塞・半介助の方で、症候性てんかんの病名も、持っていました。
でも、入院時の心電図が、ちょっと困った状況でした。
Question-01:(X day)この患者さんに、何が起きたのでしょうか?
Question-02:結果として、(我々は)病棟での保存的加療となっていました。
夜間、心不全発作の出現を見ております。
(X+1day)心電図を記録すると、思わず目を見開きました。
どう、解釈しますか?
Question-01(X day の心電図)
クリックすると、ECGが拡大します。
Question-02(X+1 day の心電図)
クリックすると、ECGが拡大します。
( なぜ、ERの心電図を見て、緊急の処置をしなかったのか )
このERでの心電図を見て、広範囲心筋梗塞を考えるのが、常識的ですよね。陳旧性か否かは別として。けいれん=VTの可能性は、痙攀時の心電図モニター波形で否定は、できました。
緊急心カテも、当然あり得るわけですが、ほとんどベット上生活で、且つ意思疎通も難しい状況でした。また、CPK/心筋トロポニン値の上昇度も低く、これはタコツボ心筋症であろう、でもけいれん治療後のバイタルサインも安定していたので、補液・安静での入院加療と判定しています。
その夜に、ちょっと呼吸苦悪化はあったのですが、利尿も良好で血圧低下も無く、翌日の心電図検査(X+1 day)となっておりました。
そうです。たこつぼ心筋症として、そっとしておく管理を私たちは、選んでいたのです。
(X+1 day)の心電図を見たら、研修医は慌てて、指導医・シニアレジデントにご注進・指示を仰ぐが、正解です。
でも、たまたま担当医となっていて、夜間に (X+1 day)の心電図を記録してしまったと想像して下さい。
ACSが起きたのか、やはりタコツボ心筋症で良いのか、冷静に考えてみます。これは、シュミレーションです、あなたの思考と判断の。
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