ECG-210:answer(その3)
80才代の女性で、心電図が異様に変化した症例でした。
たこつぼ心筋症の心電図所見で、もっとも有名なのは、胸部誘導での広範囲で大きな陰性T波です。
この症例では、これをX+14dayに、記録しております。この陰性T波はその後大きくなりました。
ACSでも、(たこつぼ心筋症)でも、病態と経時的に、心電図所見は変化していきます。今・我々は、どの段階の心電図変化を見ているのか?を、常に考える必要があります。ここが、心電図評価の悩ましい部分です。
発症初期の心電図変化です。
X+1dayで著明な胸部誘導でのST上昇が出現し、X+3dayでも、それは残っています。V1でST上昇はわずかで、aVRではST低下を示しています。
次に、長期的心電図変化を示します。
胸部誘導のST上昇は、X+14dayまで徐々に改善しつつも残りました。
そして、(X+10day)から(X+14day)のどこかで、T波陰転化に変化した訳です。X+18dayでは、陰性T波はさらに深くなっております。
この症例の心電図変化は、たこつぼ心筋症としては、かなり劇的変化を辿っております。
もっと、早く終結する症例が多い。
ST上昇を経ずに、最初から陰性T波を示す症例も多い。
そもそも、何時が発症時なのか、分からない症例もある。
重度心不全で難渋症例・心破裂する症例もあるから、気が抜けない。
次回answer(その4)は、心エコー変化と、その後のシンチの所見です。
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