ECG-210:answer(その2)
80才代の女性で、心電図が異様に変化した症例でした。
この症例が、ACSでは無いことの証明を行いました。心電図上は、強く(たこつぼ心筋症が疑われる)と云っても、確定となりませんから。
酵素学的な検討です。これだけのST-T変化が起きれば、CPK値は数千以上に上昇するのが普通です。心筋が後半に壊死する訳ですから。
また、心筋トロポニン値上昇はACSで必須ですが、この限界性は、(たこつぼ)でも(肺塞栓)でも、上昇する事なんです。とは云っても、これだけのSTが広範に上昇がACSで起きれば、トロポニン値はこの数倍以上になりそうです。
酵素学的には、広範囲前壁の新鮮梗塞は、考えにくいですね。
今度は、心筋シンチで検討しました。
ピロリン心筋シンチはACS急性期に、壊死部が形成される過程で核種が取り込まれる hot scinti です。これに、タリウム心筋シンチを同時に施行するdouble-Scintiを施行しました。
* 画像は、ピロリン酸心筋シンチ と タリウム心筋シンチを、同じ角度・同じ時刻に撮像しています。(=同時取込です)
* タリウム心筋シンチでは、心尖部を中心に広範な取込障害が発生しています。
* ピロリン酸心筋シンチでは、その集積がない=大きな心筋壊死がない。
(上記の説明でも、Scinti初心者は、よくわからない(・_・?)かもしれません。その際は、申し訳ございませんが、シンチがよくわかっている医師にお尋ね下さい。)
酵素学的変動と、心筋double-Scintiで、ACS否定的となりました。
回りくどいですね。素直に冠動脈造影でも、してみたら?
仰有るとうりなんですが、超高齢で侵襲的加療なしとしており、施行なしです。なお、呼吸停止の指示入らないので、冠動脈CTも施行できません。
answer(その3)で、心エコーとその後の心電図をお示しします。
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