ECG-217:answer(1/2)
ご家族との話し合いで、PCI等の侵襲的加療は行っておりません。今では割合めずらしい、ACSの自然経過を観察した症例です。
ERでの心電図を見てみましょう。
* 完全房室ブロックです。
* II, III, aVFで、見事なST上昇を呈しています。
* I, aVL 誘導にて、ミラーイメージとしてのST低下が著明です。
* 胸部誘導で認めるST低下は、後壁梗塞のミラーイメージでしょう。
さて、右側胸部誘導(RV3, V4,V5)を見てみます。
* 少しSTが上昇していますね。
* いつもは見慣れない(見ていない)誘導なので、判断に困ります。
クリックすると、ECGが拡大します。
では、右胸部誘導の経時的変化を、見てみましょう。
クリックすると、ECGが拡大します。
右側胸部誘導(RV3, V4,V5)では、経時的に見ると確かに、ST上昇から、基線レベルへ戻り、最後に陰性T波が生じています。いかにも、虚血性変化です。
この症例では、CAGは行われていませんが、下後壁のACSパターンで、完全房室ブロックを呈するのは、ほぼRCA閉塞のACSです。少なくとも私は、LCX閉塞でAV-blockとなった症例を経験しておりません。
これに、低血圧が加わる⇒右室梗塞が疑われますね。右室の潅流が低下・停止することで、右室壁運動が障害されるので、当然(近位の)RCA病変です。
さて、心電図で右室梗塞を診断することで、我々の行動(=治療行為)に変化があるでしょうか?(be continued)